24歳と18歳【nqrse】

17. 20歳と14歳 ページ17

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あの顔、見たことある。
じゃあまた、と無理に笑った後のあの顔。
何かを一生懸命我慢してる顔。

あぁ、あの時だ。



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俺は高校卒業後、専門学校に2年通った。
そして20歳の時東京へ上京することになった。

美味しいもん食べられなくなるのだけが心残りだわ

荷造りしながら思う事はそれくらい。

あ、A悲しむだろうなー
何も伝えてないから怒るかも

小さい時から面倒を見ていた近所の女の子。
それはそれは可愛くていつも俺の後ろをついてきていた。
いまや中学2年生か。時の流れ早ッ。

懐かしみながらの荷造りは全然進まなかった。



飛行機、もっと遅いのにすりゃ良かった。
なんで俺10時のやつにしたんだ。

翌朝、眠いのを我慢して空港に向かう。
あくびをしながら待っているとアナウンスが入った。

誰も見送りいないって案外寂しいもんだ。

20にもなって見送りなんて恥ずかしいと思って母さん達には家でお別れした。

ゴロゴロ、キャリーケースを引きながら歩いているとなるせくんっ、と大きな声で呼ばれた。

そこには、怒ったような泣きそうなような、そんな微妙な顔をしたAがいた。


「なんでなにも教えてくれなかったの？一言くらい言ってよ！」


「ごめんって、本当にごめん。だから身体揺するのやめろ〜」


すごい勢いで飛びついてきたA。
制服を着てるのを見ると学校行かずに飛んできたのか？はは、かわいいやつ。


「学校はちゃんと行かないとダメじゃん」


「行ってる場合じゃないよ」


「ごめんな、言うタイミングなくてさ」


「許さない、アイス奢ってくれるまで許さないから」


「うん、また帰ってきた時奢るよ」


頭をポンと撫でて行ってきます、と言うとAはうん、と言った。

その、うんと言った時の顔は唇をぎゅと噤んでなにかを我慢してるような顔だった。

また、キャリーケースを引いて歩く。

見送りは、やっぱりあった方が良かった。

ふと振り返るとAは大粒の涙をボロボロ流していた。
小さい手で拭っても拭っても溢れてた。



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あの顔は、泣く寸前の時の顔だ。





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