【短編集】氷上の王子と私 3【羽生結弦】 (ページ35)

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甘えたモード [リクエスト] ページ35

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｢結弦ー、薬ー｣

『…はーい』

｢起きれる? ｣

『うん、ちょっと待って』

コップに水を汲みお医者様に出された薬をトレーに乗せて寝室に行くとゆっくりと起き上がる結弦の姿がある

結弦は練習の疲労で免疫が落ちて、さらにリンクの寒さで汗が冷えてもれなく風邪をこじらせた

｢熱は? ｣

『まだ測ってない』

｢じゃあ測ってから軽く何か食べて薬ね｣

『んー』

はい、と体温計を渡すとスイッチを入れて熱を測り始める
ピピッと体温計が音を立てて結弦の体温を教えてくれる

｢37.7℃ か…｣

『…まだ下がらないね』

｢そうね…もう少し安静かな｣

『でもお腹は空いてる』

｢ふふ、食欲があるなら一安心。お粥作ったから持ってくるね｣

体温計をしまって、先に準備していたお粥を少し温め直してお椀によそう

｢熱いかもしれないからゆっくり食べてね｣

『ありがとう』

お椀と木のスプーンを結弦に渡すとニコニコしたまま受け取ってくれない

｢? 食べないの?｣

『食べるよ』

｢じゃあ、はい｣

『んーん』

ずっと微笑んだままお椀とスプーンは私の手から離れない

『食べさせて』

｢え!? ｣

さっきと同じ笑顔を浮かべたまま私を見つめてて、あーと口を開けている

私が渋っていると結弦が困った顔をした

『…だめ? 』

ずるい…そんなふうに言われて断れるわけないじゃない…!!