【短編集】氷上の王子と私 3【羽生結弦】 (ページ33)

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謝る勇気 [リクエスト] ページ33

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Side. Yuzuru

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｢あーもういい!! 好きにして!! ｣

『A!!』

声を荒らげて自室に閉じこもってしまうA
事の発端は数分前…

｢今度行くデートどうする? ｣

『あー、それなんだけどブライアンが少しこっちに来てくれるらしくて練習したいんだ』

｢そうなの? それは大事な時間だね｣

『ごめんね』

｢ううん全然、そしたらーこの日は?｣

僕にスケジュール帳を見せてくる
整った大人っぽい字がずらりと並んでいて几帳面なんだなと思う

自分のスマホのスケジュール帳を見るがなかなか空いてる日が被らない

『うーん、そこは撮影だな…』

｢じゃあここ｣

『朝から練習入ってる』

｢ここは?｣

『ノブ君と昌磨との収録』

｢…逆にいつなら時間取れるの? ｣

だんだん不機嫌になってくるA
そりゃ僕から誘った予定なのに僕から尽く断られれば不機嫌にもなるか…
でも僕だって言いたくないけどそんなに暇じゃないしAも分かってくれてるはず

『んー…今月は無理そう…』

｢誘ってきたの結弦じゃん、私わざわざ仕事ズラしたのに｣

『ごめん、でも練習は休みたくない』

｢じゃあ来月は｣

『…1回だけ短期でトロントに戻る』

はぁ!? といつも落ち着いているAが声を上げて
そして冒頭に戻る

完全に怒らせてしまった
今までAは僕の鬼のようなスケジュールに文句一つ言わず付いてきてくれた
突然のトロント帰りも毎日の長時間練習も急な収録も
世界を駆け巡っていると言ってもいいくらいなのにAは嫌な顔ひとつせずについて来てくれた

『…甘えてた、かな』

今回もAならわかってくれると思い込んでいた
でも僕がデートを誘った時の嬉しそうな顔が思い浮かぶ
実際Aの喜びを裏切ってしまった
でもだからといって自分のスケジュールをずらせるかと言うとなかなかそういう訳にもいかなくて

どうしたらいいんだろう

そう思った時、スマホが鳴った

『もしもし?』

?『もしもしー? ゆづか?』