並んだ金メダル [リクエスト] ページ24
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Side. Yuzuru
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「見て、これ」
『ん?どれ?』
「これホワイト・レジェンドのときの結弦だ」
『うわ、懐かしい、何年前だ』
「こっちはソチのとき」
次々とページをめくっては僕の写真と記録が書かれているこのアルバムは、僕が彼女を好きになる前のものも書かれている
要するに、昔の僕をAは自分で知ろうとしてくれていた
『Aの写真はないの?』
「私のはないよ、だってこれ結弦のアルバムだもん」
そういって閉じたアルバムを抱き締めている
ホワイト・レジェンドなんて僕まだ確か高1だよ
そんな時からAは僕を知っててくれたんだなぁと思うと嬉しい他ない
『Aと会ったのはいつの時だっけ』
「私が16歳のとき、結弦は18歳だね。あれだ、結弦がクワドサルコウの練習始めたあたり」
『あー、あのときか』
「私はまだ現役だったなぁ」
そう、あれは僕が初めてAに会った日
一目見て、彼女のスケーティングと、その彼女に惚れた日
もう随分と前
僕がまだ学生で、ソチオリンピックもこれからってとき
ショートのパリの散歩道を滑っている時、彼女は現れた
第一印象は、どう見ても小さい
まさかスケートをやるなんて思わないくらいの身長
だけど、リンクに降り立つ前にお願いします! と挨拶をする姿は目に焼き付いたまま離れなかった
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作者名:星羽 | 作成日時:2018年3月7日 16時