【シャドウサイド】続章〜1〜妖魔界と鬼族

45☆居間 ページ45

ここは夜11時のAの前の家。

本来なら人もおらず、静まっているはずの居間。

いや、人はいなかった。

「あぁ、AAだ。」

若くて高めの男の声が言う。

「ついに見つかったと言いますか、やっと正体が分かったと言いますか。」

若干しわがれた声が答えた。

「あの首飾りは確実にヌシ様の宝玉でございますし、
普段服の中に入れていたから分からなかったのでございますなぁ。」

若めの、落ち着きのある声も答える。

昼間に現れた、天井下がり。

それはとある鬼が力を失った姿。

「ヌシ様のお迎えをする前に俺自身、
ヌシ様に認められるようにならなければな。純銀、いぬわし、共に力をつけようぞ。」

純銀とはしわがれた声の、天井下がりに使える部下の名前で、武器はいにしえの忍者刀。

いぬわしも同じく部下の名前であり、落ち着きのある声の男だ。武器として手裏剣を操ることができる。

どちらも鬼だった、かつては。

「「御意！」」

2人はまだ力が足りない。

「ああ、風が吹いただけで輪郭が揺らめく･･･｡早く姿を取り戻しとうございます。」

部下は2人とも揺らめく煙か影のような姿をしていた。

「俺も早くおまえ達をきちんと見たい...。
こうして部下を持つ身なのだからな。
とりあえず、AAの挙動だけは常に見張らなければならぬ。」

「御意。今日来たときは他に5人いましたが、それぞれ妖怪を視認できるようでしたな。」

「まぁ、ヌシ様となれば霊すら観ぬようなやつとはつるまないのでしょうな。」

いぬわしが納得するように頷いたとき。

「そうそう、いぬわし。少し偵察を頼みたい。
AAがこの家に住まぬ以上、どこで寝起きしているか位は把握しておきたい。
明日、任せたぞ。」

いぬわしの影が頭を下げる。

「は、純銀殿の指令とあらば張り切って務めさせてもらいます。」

満足げに笑う、天井下がり。

「そうだな、俺からも任せたぞ。」

　


　 静かに夜は更けていく

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