ハート・ハート・ハート ( 赤 ) (ページ5)

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5.subaru ページ5

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渋「じゃあまた…来るから」

あ「うん、分かった。」

渋「家着いたらまた、電話する」

あ「うん、待ってる。」

ほんまにちょっとの時間しか残されてなかったんや。

でも、この機会を逃したらもう二度とあいつには会えへん気がして…。

デビューしてもう4年が過ぎて、まだまだこれからやとは思ってたけど当初に比べたら仕事も安定してきてた。

アリーナツアーをやれば来てくれるいっぱいのお客さん、念願やった京セラドームでのライブ、関西でずっとお世話になってるレギュラー。
新曲はテレビでも披露できるようになった。

ここしかない。いま、ここしか。

そう思って、決心をして、俺の電話帳のあれから一度も触れたことのなかったAの発信ボタンを押した。

なんて声をかけようか、なんの話したらいいんやろう、そんな期待と不安が入り混じった俺の気持ちは、機械的な音声によって打ち壊された。

しばらくはそのショックで動けへんかったけど、確かオカン同士仲よかったのを思い出してなんとかAの就職先を聞き出した。

渋「 …ここか」

でっかい自社ビルを構えとるそこは、関西では有名な企業で、その前の道を通って行く人らはみんなスーツ姿。

ジャージの俺は1人浮いてるようやった。

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