「悲痛な声」 ページ16
.
「ははっ……取り合うなよ、まだ沢山あるんだしさ」
誰も居ない中庭の畑で少年がもっけ達に飴をあげていた。微笑ましい状況だが少年……もとい柚は少しやつれたような顔をしている。
.
「ふんふんふーん♪……って、あの時の！！」
イケメンくん！！と声を荒らげる女子生徒はヤシロ。ヤシロは園芸部のため畑に来ていたようだ。柚はヤシロの存在に気づくと手をヒラヒラと降った。
「ここ、綺麗だと思ったら貴方がやってたんだ……俺は神無月柚です」
「え、園芸部だから……わ、私は八尋寧々です！」
お互いに自己紹介を済ませ柚はまたもっけ達とじゃれ合う。その様子をぼんやりと頬を染めて眺めていたヤシロに不意に柚は訪ねた。
「寧々先輩の所に姉ちゃんは来た？」
「ねねせんぱっ！？…………んん……結さん、だよね？来てないよ？」
名前に先輩呼びなんて！！上ずった声で返事をしてしまったが柚は安心したように微笑むだけだった。そんな柚にヤシロは疑問を持った。……前にぶつかった時は元気だったのに今の彼は何処か元気がない。
.
「……柚くん、大丈夫？」
.
──その瞬間、柚の瞳からホロリと涙が零れた。何か溜めていたものが一気に溢れ出したようだった。そしてギュッと離さまいとヤシロの制服を強く掴む。ヤシロの制服の上で涙の染みが出来ていく。
.
「俺もう……いやだよぉ…………こんな事……、したくない、……！！」
.
イケメンを泣かせてしまった事に罪悪感を持ち彼を落ち着かせるように頭を優しく撫でる。それでも泣き止まず、それに加えて酷くなっていくみたいだ。
.
「父さんも母さんもッ……死んじゃって……姉ちゃんだけが！……頼りだった、……から……ずっと姉ちゃんに着いててったけど！！」
「それから……姉ちゃん可笑しくなって……流石にこれ以上辞めようと思ったけど…………姉ちゃんに……見放されるのが……怖くて、」
嗚咽ながらに心の内を晒す彼は見ているこっちが辛かった。彼らが八番目と縁結びした裏に彼がこんな悲惨な思いを隠していたなんて。怒り……なのだろうか。よく分からない感情がふつふつと混み上がってくるのが感じる。
.
「でも、こんなこと間違ってる！！
……だからッ！
.
────助けて、寧々先輩！！！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のんのん - おっもしろいです！これからも応援してます！ (2020年7月28日 19時) (
レス) id: 7c57b8ea8a (このIDを非表示/違反報告)
クリパーランプ - 続きがすごく気になります(*≧∀≦*)コレからも更新等々頑張ってください！応援してます！ (2019年1月5日 0時) (レス) id: 12fca75d2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫と影猫とお菓子。(プロフ) - 続き、ますか…？(期待の目) (2018年8月4日 22時) (レス) id: bf9c53bfd9 (このIDを非表示/違反報告)
翡?翠(プロフ) - はらさん» ご注意ありがとうございます。外し忘れてました…。すぐに外します。 (2018年5月2日 22時) (レス) id: 99ba1bed6a (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグ外し忘れていますよー違反行為なのでちゃんと外して下さいねー (2018年5月2日 22時) (レス) id: 24eceefe57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘夏蜜柑 x他1人 | 作成日時：2018年5月2日 22時
