桜色Memories 【黒子のバスケ】 (ページ35)

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「秀徳高校タイムアウトです」

残りおよそ2分。

点差はとても…良いとは言える状況ではなかった。

中谷監督の目も鋭い。

中「残り2分…ここからは全て緑間でいく」

そう言った中谷監督の言葉に驚きを隠せなかった。

コートに向かうその背中を見てなんとも言えない気持ちになった。

中「酷だと思うか…大坪達にとって」

緊張した面持ちでチラチラと監督を見ていると

なんとなく感じ取ったのか

私にそう言ってきた。

貴『…はい』

私がそう答えると

コートに目を向けている中谷監督は無言のまま

私もコートに目をやると

日向さんのシュートを大坪先輩がブロックしていた。

中「緑間でいくってのはね

つまり同時に，残りの4人はとにかく守れってことだ」

中谷監督の真っ直ぐな言葉が私の胸に刺さった。

中谷監督もわかっているはずだ

3年生にとって,どれほど酷なのかということ。

でも…それでも,3年間のチームの要は真ちゃんだ。

それを踏まえた上での判断だろう。

残り時間1分に差し掛かったところで試合は突然動いた。

伊月さんからボールを貰った日向さん。

追いかける大坪先輩に火神くんがスクリーンをかけた。

放たれたボールは，残り5秒…綺麗にリングを潜った。

貴『(まだ…終わってない)』

高「勝ってねーよ…まだ！！」

高尾から真ちゃんへボールが渡る。

シュートモーションに入る残り3秒の出来事。

火神が跳んだ

最後の力を振り絞って。

緑「信じていたのだよ

例え限界でも,お前はそれを超えて跳ぶと」

もう一度シュートモーションに入ろうとした

その時だった。

黒「僕も信じていました。

火神くんなら跳べると

そして、それを信じた緑間君がもう一度ボールを下げると…」

黒子により弾き落とされたボール。

試合終了のブザーが鳴り響く中

自身の手を見つめ,動かない真ちゃん。

整列し,戻ってきた皆の顔は悔しさで染まっていて

苦しくなった。

貴『真ちゃん』

緑「A…」

いつもより低い声。

初めての敗北。

お疲れ様

そんな言葉じゃない

私が掛けたい言葉は…

貴『真ちゃん…

.

.

.

.

.

もう…1人じゃないよ』

開かれた彼の目は昔とは違う。

貴『(おかえり…真ちゃん)』

私の声は貴方に届いた？