酔った彼氏の本音【鬼滅の刃】【短編集】

錆兎ー漢気 ページ31

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彼氏はとても男らしい

男だろうが女だろうが、誰しもこういう人と一度は付き合いたいと思うだろう


困っていたら助けてくれて、仕事もできて、剣術でも体術でも強い




でも、そんな彼の違った一面を私は見た事がない



寝顔すらも見たことがないのだ






「錆兎！」
「なんだ、Aか」




「今日こそは一杯付き合ってもらう！」

「断る、明日は久しぶりの非番なんだ、ゆっくりさせてくれ」



「断る！」






私の作戦はこうだ、酒を飲ませ酔わせ寝させる

寝顔をバッチリとらえてやる







「来ないと義勇に錆兎の恥ずかしい話をバラす。」
「なっ、卑怯だぞ！」



「なんとでもおっしゃい！おほほ」







さぁ獲物は釣れた、どんな表情を見せてくれるかな




え、恥ずかしい話とはなにかって？

御館様への挨拶で「おやかたひゃま」とか噛んだこととか、一人でよく分からない曲をﾌﾝﾌﾊﾌｰﾝとか鼻歌で歌ってたこととかかな







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あの後、1時間くらいは経っただろうか



錆兎の屋敷で酒飲み大会を繰り広げてから相当時間が経った


すっかり泥酔した彼は頭が働かなくなっている





「A〜」




いつもはキリッとハキハキ喋るのに、伸びない語尾が伸びきっていた




「すきだぁ…」
「はいはい」




相当酔っているようだ




「A、」

「なに？」
「Aには、怖いものはあるか」



「怖いものか…、幽霊とかかな。錆兎は？」

「俺にも…、ある。」





そこからぽつりぽつりと、錆兎は話し始める





「Aが居なくなることが怖い、男なのに情けない。」





悲しそうな顔で笑うものだから、私は思わず彼に手を伸ばしていた






「私はいなくならないよ、いつも頑張りすぎだよ、錆兎は」






彼は重すぎる責任に、弱さを見せられずにいる





「たまには、私に甘えて」
「甘えるものか、俺は男だ」




「男と女は何が違うの、男は甘えちゃダメなんて理不尽すぎるよ」






錆兎は驚いたように私の手を取る





「そうか…、」







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