酔った彼氏の本音【鬼滅の刃】【短編集】

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「私は誰よりもAのこと、知ってる」




いきなり少しムスッとした表情になる







「炭治郎や、師範よりもAのこと…」






モジモジと赤く顔を染めながらカナヲは私の首に巻き付く





「だ、だいすきだから。」
「か、カナヲ…！」




いつもは遠くでしか見られないカナヲの顔がはっきり見える





「さっきね、一緒にお酒口にした時。結婚式みたいで、ドキドキしたの」

「結婚式？！」




よく結婚式で花嫁と花婿が一緒に頂くお酒のことを言っているのだろうか







「だからね、私、カナエ姉さんや師範にもすごいねって言われるくらい。

好きなように生きたい。」






カナヲは、本心ではいつもこの事を考えていたのかもしれない


ここまでカナヲが変われたのは、カナエさんやしのぶ、炭治郎や皆と触れて影響を受けて



少しずつ自分を見つけられたから。








「私が好きなのはAだから、私はAがすきなの。」

「ふふっ、カナヲがこんなに私の事すきなのが嬉しい。」







思わず零れた笑みと一緒に、私は桜を眺める





「ねぇカナヲ、雲居の桜って知ってる？」
「ううん、知らない。」


「雲居って古典では宮中とかって意味なんだけど、宮中って雲の上にある存在だから。とっても遠いの。」






近いのに遠い、この桜みたいに。人の想いみたいに





「カナヲは好きに生きる、私も一緒に生きる。私もカナヲのことだいすきだから。」

「A…、」





カナヲは私の手を控えめに握る、小さくて硬いその手が沢山の人を守ってきた証だ





「私、いつまでもAのこと守るから！」
「こっちの台詞！私が守る！」



「わたし、が、それよりももっと守る。」
「じゃあ私はその百倍くらい守る」




そんな会話が可笑しくて、2人で笑い合う。





「こんなに話したの初めてだね」
「うん」

「いつもありがとう、カナヲ。」




カナヲは顔を真っ赤にして、握る手にもっと力を込める。





「ありがとう」という言葉に答えるように、首に巻きついていたカナヲはわたしをぎゅーっと抱きしめた。






カナヲの想いはいつも近いはずなのに、遠く感じる



でも、こうして近くに感じられることは幸せだ。


初めて自分を誇張した姿を見せてくれた彼女に、安堵と同時に優越感を得た



桜が舞い上がり、私たちを包み込む

こうした幸せを大事にして生きたい。





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