優しい彼への小さな気持ち ページ7
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五月雨Aは、帰る途中、中庭を通ろうとすると、ある現場を見つけた。
自分が片想いをしている、彼…竃門炭治郎が、告白されている現場を。
「私、あなたが…竃門くんが、ずっと前から…入学前から好きでした!付き合ってください!というか結婚してください!」
…どこかで、こんな感じの男の子を、見た気がした。
まあ、そんなのはどうでもいい。
自分よりも愛らしい姿の彼女は、恋は人を綺麗にするという言葉通り、甘く、綺麗だった。
五月雨Aは…思わず、逃げ出してしまった。
あくまで、気が付かれないように。
少し早歩きで、校門に向かうA。
その瞳には、1粒の涙が、今にも零れ落ちそうだった。
でも、彼女は、零さない。
(彼は、モテるんです。告白なんて、日常茶飯事ですよ。事実、私も、告白されますし…大丈夫です。私は、五月雨家の長女なんですよ?我慢しなければ…)
そんな彼女の前に…誰かが、立ち塞がりました。
いつも通らないルートを通ったため、待ち伏せされていた人に会ってしまったのでしょう。
立ち塞がった人は、彼女に言いました。
「僕、君が大好きなんだ。付き合ってくれるよね?」
…彼女は、変な人だなあ…と思いつつ、後ろにいる人に気づき、急いで断りました。
「…ごめんなさい。私には、好きな人がいるんです」
「なっ…それでも、諦めない!誰だ!誰が好きなんだ!?」
「え、言いたくないです」
「直球!!!」
少し不機嫌な彼女は、半ば呆れつつ言いました。
直球に言われた彼は…とぼとぼと歩き、夕焼けに消えていきました。
(…早く、帰りましょう)
そう思いながら、校門をくぐろうとした時。
Aは、後ろから声をかけられました。
「待ってくれ!待ってください!」
その声に驚きつつも、振り返ると…彼女の後ろには、告白されていた彼…炭治郎が居ました。
驚いていると、彼は、挙動不審になりつつ、恐る恐る聞きました。
「さ、さっきの人とは、どうなったんだ?」
「…見てわからないんですね…」
ジトっと、彼女は彼を睨みました。
あんなにわかりやすいのに、気づかないとは。
あなたの鼻はポンコツですか?と言いたげな視線で見られ…彼は、顔を赤くさせました。
その表情が、あまりにも、可愛かったから。
「どうせ、帰り道は一緒みたいですし、帰りましょうか。顔が真っ赤な竃門くん」
「んなっ…!」
指摘された彼は、また顔を真っ赤にさせながらも、彼女について行きました。
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