眠り姫は夢見つつ ページ4
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お店の奥で、すやすやと眠る女の子。
"竈門ベーカリーの眠り姫"と呼ばれている彼女は、お店にとって可愛らしい存在です。
そんな彼女に心を奪われた者は、とても多いみたいです。
…彼女を起こすのは、閉店時間のみ。
炭治郎も、眠っている彼女を起こすのは、気が引けるみたいです。
「五月雨さん、そろそろ閉店の時間ですよ」
炭治郎が少し遠慮がちに言うと、彼女は、ウトウトしつつも、目を覚ましました。
「…もう…そんな時間…なんですね…」
目を擦りながら言う彼女に、炭治郎は、思わずドキッとしてしまいました。
炭治郎も、心を奪われた者の1人。
叶わない恋とわかっていながらも、諦めきれないのです。
「…そういえば、何で、ここに眠りに来るんですか?」
炭治郎は、少し期待しつつ…でも、単純に気になったので、聞きました。
家の方が、寝心地がいいはずです。
それなのに、家で眠らない彼女に…違和感を覚え、聞いてしまいました。
…赤面しながら、彼女は、
「…ここに来ると、自然と、眠ってしまうんです」
と、答えました。
炭治郎は、純粋にそれを信じ、納得したかのような表情になりました。
彼は、鼻はいいです…が、嘘か本当かを見分けられても、隠していることまでは、見破れないのです。
なので…
(…竈門くんに会う口実を作るため、竈門くんの顔が見たいため…なんて、言えませんね)
彼女の隠れた本音にも、気づけないのです。
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