118 兄。 ページ18
兄。
小さい頃は仲が良くて、とても優しかった。
僕が銃について多少の知識があるのも兄のおかげだし、会話術も。
そんな優しかった兄が変わったのは、僕が15、中学三年生の頃からだ。
当時兄は高校二年生で、少し余裕があるから勉強を手伝うと僕の志望校を訪ねてきた。
柴さんの件もあり、警察学校へ行きたいとその頃には志すようになっていて、隠す必要も無く、とある偏差値の高い学校へ行きたいと兄に伝えた。
そこからだ、兄が僕を嫌い始めたのは。
その時にはもう両親も他界。二人で生きていたにも関わらず、家ではほぼ話さず、顔も合わせてくれない。そんな生活になった。
「兄さん、どうして急に避け始めたの」
耐えられなくなり、僕はそう兄に訪ねた。
今では簡単なことだった。
「お前は兄の俺よりも頭が良くて、運動ができて、人に好かれる」
「なあ、A。今まで押し殺してきた。押し殺してきたんだよっ、、、それで精一杯良い兄貴を演じてきた」
「でも、もう無理だよ」
兄は泣き出した。
その泣き顔は、嗚咽は、両親の葬式以来のものだった。
「ぅ"っ、、、ぁぁっ"、、、お前はっ、、、遠くにいた方が、大切に見えた、、、、っ」
「_____僕もだ」
嘘を吐いた。
374人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:co2 | 作成日時:2022年5月7日 0時