笑う顔に矢立たず。2【ツルネ】 (ページ7)

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二階堂side。

『ねえ、永亮。この先も一緒に練習して、茂之さんみたいに、綺麗な斜面を引けるようになろうね』

差し出された小指に自分の小指を絡めて、きゅっと結んだ日のことをまだ覚えてる。

嬉しくて、俺はその日の約束を片時も忘れることは無かったし、Aも、絶対に忘れていないのだと思っていた。

それから流派変えの事もあって、俺は落胆して、恨んではいたけど、それでもまだAと話したいし、関わりたいという気持ちがどこかにあった。

環境の変化に伴っていく関係が、嫌だったから。

Aが卒業してから三年生としての一年間を過ごした。9月頃、進路の話の最中に、ふと思い出して、Aのことを聞いた。

「水景か？水景なら他に行ったよ。優秀だったのに、なんで他所に行ったんだろうな」

そこで返ってきたのはのは予想もしなかったような内容で、俺は思わず目を見開いた。

「うちに残ってくれたら良かったのになあ、、、」

そして、前よりも強い怒りがふつふつと湧き上がってきた。

ｷﾞﾘｯ

拳を強く握りしめる。

「(あの人は斜面を捨てて約束を破った挙句、俺から逃げたんだ)」

いつも浮かべている笑顔を剥ぎ取って、プライドをへし折ってやる。

水景Aは俺が潰す。