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水景side。
男子団体戦。
風舞対辻峰は、結果的に、風舞の勝利となった。
普段外さない静弥が二射外したが、それを他の四人で支え、しっかりと五人で引いていた。
あれこそが息合いなのだと思う。
二巡目の湊、上手かった。
そして、二階堂。
たくさんの色を乗せるような美しい射が、また私の心を揺らした。
・
夜。
「二階堂」
「、、、A」
彼は私を見て、ふい、と顔を逸らした。
「君が見えた」
彼はぴくりと肩を揺らした。
「大丈夫、とか言っておいてかっこ悪いね。ごめん。けど、君のおかげだよ」
「そして、君の射も見た。とても良い射だった」
「何事も、正しさよりも感じたものが大切。音楽も、美術も、スポーツだってそう」
「君が感じて、得たものが、あの射を形作っていたのだと思うよ」
ぽろ、と二階堂の瞳から涙が落ちた。
「約束、まだ継続中?」
二階堂を抱きしめてそう聞くと、二階堂は何も言わずにこくりと頷いた。
「そう、、よかった。私はもう斜面じゃないけどさ、これからもたくさん練習して、綺麗な弓を引けるようになろうね」
あの日みたいに、静かに小指を結んだ。
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作者名:co2 | 作成日時:2023年6月12日 23時