笑う顔に矢立たず。2【ツルネ】 (ページ19)

今日:34 hit、昨日:29 hit、合計:28,139 hit

65 ・ページ19

目が良い。

＿＿＿＿＿
no-side。

「！？外した、、、！何で、、、！」

珍しい水景の外れに、それを知る皆がどよめいた。準決勝となると、三中以上が絶対。一巡目から厳しいものとなってしまった。

「(A先輩、、、怖がってる？)」

水景の背を見ながら、如月が眉を顰める。

・

如月side。

最初は、食えない先輩だと思った。

「めっはー、、、？如月」

けどそれは勘違いで、一年生全員へいつも優しくしてくれたし、飄々としている態度とは裏腹な、真摯な射をする。

「湊はきっかけだけど、原因じゃない？」

「そうそれ！」

人の心を感じて、読解することが誰よりも上手い。常に欲しい言葉をかけてくれて、必要なことを言ってくれる。

それは心地いいけど、さ、、、ねえ、A先輩。

みんな、先輩の話を聞くのを楽しみにしてて、先輩のこと、大好きなんだよ。

A先輩の正面側の観客席に、立ち上がる誰かの姿が見えた。

気付いてるのは、、、俺だけか。

それは辻峰の二階堂先輩。
A先輩は、気がついたかな。

・

水景side。

手が震えそうになる。それを抑えることに必死で、二巡目の二人目まで来た。

「(駄目だ、せっかく、彼らが)」

落ち着いて、、、、。

汗が気持ち悪い。早まる呼吸を、いつものように保とうとしても、喉が震える。

番が来て、立ち上がる。

「＿＿＿＿＿！」

視界に入った。向こうの客席。

二階堂。

彼の視線と私の視線が交わる。

「＿＿＿＿＿」

彼は昔とは少しだけ変わった、けれど、やはり変わらない微笑を浮かべた。