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帰りの車です。
_____
水景side。
「じゃあ帰りましょうか。不破くんは前で、2人は後ろへ乗って?」
二階堂の叔母さんにそう言われて、私たちは車に乗った。エンジンがかかり、道を走り始める。
私は二階堂へ向かず、いつもの笑みも消して、ぽつりと言葉をかけた。
「二階堂。約束、覚えてた?」
「、、、、」
「私も覚えてた。けど、君は忘れてるものだと思っていたな」
「っ、、、、なら、なんで斜面を、、、っ」
「、、、西園寺先生に憧れて、、って話は、昔したよね。けど、他の理由もあったんだ」
_____他の理由。
「あの約束が、君にとって重りになっていることに気が付いた」
そう、あれは、上へ上へと向かえる筈の二階堂の実力を殺してしまっていたんだ。
五人立ちなどの団体戦において、「共に引く」ことは必要でも、そうでない場合は、ただ方側の焦りや不安を掻き立てるだけだった。
「不器用なんて、私が言えたことじゃなかったな。誰よりも、関わって、伝えることが苦手だったのは私だった」
・
no-side。
水景Aは、誰よりも不器用で、また、人の心に恐れる人間性だった。
だからいつも笑顔で心と言葉を武装していた。所謂、誰にでも好かれていて、敵を作らないヤツ。
それは空しく、孤独を感じさせたが、鳴宮達のおかげで変わりつつあった。"本当"を言って、"本当"の表情をする。
それでも、それを知らない二階堂は_____。
「っ、、、じゃあなんで、、!俺を独りにしたんだよ、、、!!」
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作者名:co2 | 作成日時:2023年6月12日 23時