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水景side。
「なんでお前らは西園寺に選ばれて、叔父さんは駄目だったんだ。本当ムカつくよ」
「絶対に負けたくない。西園寺が選んだお前にも、藤原にも、、そして、約束を破ったアンタにも、俺は勝つ。勝って、、、、弓道なんてやめてやる」
約束。
それは幼い日のもの。けど、しっかり覚えてる。
ああ、そう、、、そうか。
君も覚えていたんだね。
「(ごめん)」
・
「叔父さんっ、、!!」
「おお、永亮、、、、Aちゃんも」
病室に入ると、茂幸さんは点滴を腕に繋がれて、ベッドに横になっていた。
「とりあえず今は安定したって」
「ははっ、永亮、なんて顔だ、、、」
茂幸さんの言葉に、二階堂は泣きそうな顔をした。
「なんだよ、、、驚かすなよ、、、!俺、ホントに心配してっ、、、!」
「すまんな、、、でも、まだまだ永亮には教えたいことがたくさんある。こんな所でくたばる訳には、いかないんだよ」
「っ、おじさん、、、っ」
・
「本当にありがとうございました。永亮くんと不破くん、Aちゃんは、私が責任を持ってお送りしますね」
「お前もありがとな!二階堂のヤツもきっと感謝してると思うぜ?」
「いえ、、俺は、二階堂先輩に、自分らしい弓を引いて欲しいだけなんです、、、!だから、、、」
「わかった。伝えとくよ」
「あ、、、あと、A先輩にも、頼めませんか」
「?」
・
眠ってしまった二階堂を眺めながら、茂幸さんが微笑んで頭を撫でた。
「なあ、Aちゃん。永亮とは、どうだ?」
「、、、、上手くいかないものですね。肝心なところで舌足らずな自分が嫌で仕方ない」
「約束、忘れてると思ってた」
掠れた声が出た。
茂幸さんは、また寂しげに微笑んだ。
「(二階堂。教えるよ、全部)」
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作者名:co2 | 作成日時:2023年6月12日 23時