48 勝手な夜明け。 ページ2
水景side。
あれから二階堂は去っていってしまった。
一人になったロビー。自販機のゴーという音も耳に慣れてしまっていて、そこは酷く静かに感じた。
「はあ、、、」
まあ、これぐらいで修復できていれば今こんな事にはなっていない。
「(眠くなってきた)」
・
次の日は、マサさんが二階堂へ提案したらしい競射会をすることとなった。
「うん。今日はたくさん中る気がするし」
湊たちの射型などを確認していると、後ろの方で話していた辻峰の会話が聞こえてきた。
「自信ありげなの珍しいっすね?」
「この矢摺籐の傷を、的の候串の辺りに合わせたら狙いがピッタリなんだよなー」
ぴくりと指先を曲げ、辻峰の方へ目を遣る。
「!樋口さんそれは_____!」
注意しようとする不破。そこに、二階堂が無言のまま片手の平を見せて制し、首を横に振った。
私の目は無意識の内に見開かれる。
「お前、、、、」
「おっといかんな。ソイツはルール違反になっちまうぞ?」
その時、マサさんが辻峰へそう話しかけた。
「ホントに?」
樋口が驚いたようにそう聞いて、マサさんは優しく頷いた。
「ああ。照準になるような傷や印をつけるのはご法度なんだ。直した方がいい」
「ラクだったのにー、、、残念、、、」
マサさんは、黙認を図ろうとした二階堂に対して何も言わなかった。
多分、マサさんの立場ならば、私もそうしていたのだと思う。
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作者名:co2 | 作成日時:2023年6月12日 23時