妖しげ儚げ裏世界 (ページ19)

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裏世界の裏事情―拾陸― ページ19

『あ"ー、やっと仕事終わった……』

「おー、お疲れー。榮倉ー」

獅子王さんが手に持っている資料から顔を上げないまま、俺に言葉をかける

『獅子王さんはまだ仕事してるんですね
たまには早く帰った方がいいんじゃないですか？息子さん、遊びたがってるんでしょ』

「阿保抜かせ。知ってるだろ、俺はお前と同じでこの時期忙しいこと」

『……あー……確か墓参りでしたっけ
知り合いの』

「そーそー。普段から休み取っても仕事が舞い込んでくるんだ

だから、会社が文句言えないぐらいに全部仕事済ませて、それから墓参り行くんだよ

そっちの方が何も考えなくて楽だからな」

獅子王さんは俺と会話しながらも指は高速でパソコンのキーを叩いている

……恐るべし、仕事の鬼！

「いーなーお二人さんは。墓参りだといっても休み取れて」

奉日本が回転椅子を傾けながら会話に参加してくる

ていうか危ないだろ……その座り方

「そういう奉日本君だって休み、ちゃっかり取ってるんでしょ？

私は何も用事はないですから……」

五百扇先輩もパソコンから顔を上げた

『……へー……何もないんですか先輩』

結構、以外な事実に驚く

先輩は女性だからさっそく休み取って、買い物とか行くもんだと思ってたけど

それに今はお盆の時期

だからほとんどの社員が休む

俺も、もちろん休むけど

その期間はほとんど京都行ってるから、旅行みたいな感じだ

「やっぱり……私も休み取ろうかしら…」

先輩……眼が虚ろ……

「そうしろよ、五百扇
この時期会社の奴ら、全員休んでんだぞ」

「そうだよ！いおちゃん真面目すぎるんだから！たまには休んでリフレッシュしなよ！」

「そうですよ五百扇先輩！ちゃんと休んでくださいよ！ねっ？先輩もそう思うでしょ？」

『え？あー……そうだな……って、あれ』

……なんか声が一つ多い……

「……うおっ！？ ……何故いるんだ……

国府田……」

「うわわわっ！？ちょちょちょ！まさっち！
怒んないで！怒り静めて～！？」

「誰のせいだと思ってるんだ！それに変な
あだ名つけるのやめろ！」

『…………』

「…………」

「…………」

二人の上司の口論(獅子王さんが一方的に怒ってるだけ)を俺達三人で冷ややかに見つめる

「怒んないでってば、まさっち！

てか三人とも！見てないで助けてよ～！」

『はぁ……』