妖しげ儚げ裏世界 (ページ16)

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裏世界の裏事情―拾参― ページ16

「……やぁっと見つけたぜ
・・・・・・・・
五ツ星ターゲット♪」

『…………ッ』

怖い

この男からは、その感情以外感じられなかった

「だが、やっぱり運が強ぇな
せっかく音まで消したのに」

まさかこいつ、俺を殺そうと……！

「おいおい勘違いすんな
お前を殺そうとしたわけじゃねぇ

ただちょっと動けない程度の骨折をしてもらおうと思っただけで」

『充分、危険じゃねぇか！』

って、あれ？言ってないのに会話が成立して……

「……あ、今〝何で心読めんの〟とか思ったろ。ま、生まれつきだからなぁ」

……人間じゃないな

判る事はそれだけ

後は〝危険人物〟〝不審者〟

このワードがぴったりだ

「ひっでぇなぁ……危険人物、不審者だとよ
俺、そんな風に見えんの？」

『あったり前だろ！つかいちいち人の心読むな！』

なんなんだよ、こいつ……！

「さて……茶番はこれくらいにしとくか」

電柱から男が消えた

だが、いつの間にか額が引っ付きそうなほど
俺に近づき、その細い腕から想像も出来ないぐらいの力で俺の右腕を掴んだ

「でかい〝気〟が近づいてるな……

それに星一つ、二つ……人か

時間はそう簡単にはやらねぇって訳か」

男は腕に力を込めたらしく、腕に痛みが走る

(…………いっ……！？)

その時、俺には見えた

顔を隠すようにして被っていたフードがずれ

左頬から肩にかけ、大きな、それでいて見覚えのある刺青があるのを

(……この刺青、どっかで……)

「―――――」

「おっと来ちまった。じゃ、またな、ターゲット♪」

男は

消えた

「―――ちょ……！先輩っ！？大丈夫っすか！？」

『奉日本……』

「先輩、追いかけて来たら鉄柱の前に座り込んでるし！呼び掛けても反応ないし！」

〝心配したんですよ、も～！〟

そういう奉日本は言葉こそ軽いものの額に汗が浮かんでる

(心配してくれたのか)

『悪いな、心配させて』

「いえ、大怪我なさそうで良かったです」

奉日本はほっとしたようにへらっと笑った

『んで、此処は？』

「あ、やっぱり覚えてないんですね

此処、工事現場の休憩所ですよ」

『工事現場？』

また、何でそんな所に……

「先輩の前に落ちてきた鉄柱の管理してた所ですよ。先輩、放心状態だったけど大した怪我ないから取り敢えず様子見よーって……」