67話 ページ23
棘視点
びゅーびゅーと大きな音がして肌寒い風が通り抜ける。
お日さまはとっくに帰って、いつもならとげはもう寝ているころ。
__こんなとき、パパがいたら、あったかい毛布を持って「もう寝なさい」って笑うのかな……。
なんて考えては、ぶんぶんと首を振り中断する。
(もうパパのことは考えないってきめたじゃんか…。)
「それより！まどしめなきゃ！」
ぱちんとほっぺたを叩いて考えを振り払って、無駄に広い家の窓を閉めるためにペタペタと廊下を歩く。
夜はおばけが出そうだからって、いっつもパパと一緒に行ってたけど、今日からはとげ一人でやらなきゃだから……。
「ッ……！」
ガタガタッと窓が大きな音を立てる度にびっくりして足が止まる。
ひとつ、またひとつと窓を閉め終わると、怖さを紛らわすように目をつぶって、全力で廊下を走り抜けた。
夜の暗闇も、雷も、おばけが出そうな廊下だって、パパと一緒なら何にも怖くなかったのに……。
「……っ、ぱぱぁ……っ！」
目元に収まりきらなくなった涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。
ほんとは、パパに出て行ってほしいわけじゃない…。
一人で生きていきたいわけじゃ、全然ない…。
とげはただ……パパに、…幸せになってほしいって、思ってるだけなのに……。
パパが呪術師じゃなくて、普通の先生をしてて、棘も呪言なんか使えなくて、それで普通の家族みたいに笑って、喧嘩して。
そんな夢を、もう何度見ただろうか。
けど、現実はそうじゃなくて、いっつもパパばっかり傷ついて帰ってきてくるんだ。
なんで…！とげのパパなのに……。とげからパパをとらないでよ…。
パパが怪我して帰ってきて、今にも消えそうな笑顔で微笑むの、とげが今までどんな気持ちで見てきたか知ってるの…？
けど、お仕事をしてるパパが楽しそうだったから、何にも言えなかったんだ。
クリスマスプレゼントも、誕生日のケーキも、本当は何にもなくていい……。
ただ、パパがいてくれたらそれでいいのに…。
けど、とげかお仕事かどっちかにしないとパパが傷ついちゃう。
それは嫌だから、とげが我慢するから。
幸せになって。
パパ。
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nanox(プロフ) - ゆうひさん» コメントありがとうございます。その心臓、貰い受ける！ (2022年1月1日 2時) (
レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - は…んっ…んんっ…ん゛ん゛っっ…( ´ཫ`)ﾔﾒﾃ…ﾄｳﾎｳﾆﾄﾄﾞﾒｦｻｽﾖｳﾅﾅｲﾖｳｦｶｶﾅｲﾃﾞ…ｼﾝﾃﾞｼﾏｲﾏｽr(○ﾟ∀ﾟ)ｶﾞﾊｯ∵∴ (2022年1月1日 0時) (レス) @page26 id: 6b52cf8228 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - ねんねこさん» コメントありがとうございます。棘氏のかわいさ表現できてたら嬉しいです！ (2021年11月14日 6時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ - 棘きゅん・・・♡カワユス(*´Д｀) (2021年11月14日 5時) (レス) @page23 id: 90373cb5b9 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - いちこさん» コメントありがとうございます。棘氏の可愛さが伝わって嬉しいです！腐腐腐… (2021年10月30日 19時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nanox | 作成日時：2021年4月16日 23時
