6話 ページ8
A視点
その後、何とか開放された僕達は帰り道を歩いていた。
園長室から出ていくときに、扉の横に立っていた棘のクラスの担当の先生にメモを渡された。
メモを渡す手はカタカタ震え、今にも涙がこぼれそうだった。
棘君が全面的に悪い訳じゃないんです。
海斗君は前々から棘君をからかっていたのですが、
〜〜〜〜
「お前の口のもよう変なの。父ちゃんも口隠してるからそうなんだろ？しかも全然喋らねぇし。お前もお父さんもようかい？なんじゃねぇの？」
お前んちの父ちゃんガキなんだろ、母ちゃんが言ってたぜ。
それに、全然人が来ないくそみたいな学校で働いてるらしいぜ。お前の父ちゃんごみじゃん！
〜〜〜〜
その日はお父様の悪口を棘君に向かって言いたい放題言っていました。
私もそれに気づいたので止めに入ろうとしたのですが、いつもおとなしい棘君が
「黙れ！」
と言うと海斗君の口からは血が溢れ、近くで聞いていた私は声が出なくなりました。
このメモを海斗君のお母様か園長先生に渡せば良かったのですが………怖くて…。
本当に申し訳ありませんでした。
メモにはそう書いてあった。
先生は新任だったし怖いのは良くわかる。
真実が知れただけで十分だ。
そう思い棘と帰っているのだが、僕の手をぎゅっと握りしめ、俯いたまま段々と足取りが重くなっていき、ついにしゃがみ込んでしまう。
「ごめんなさいっ！ご、めん、なさい…！」
泣きながら何度も謝る棘としゃがんで視線を合わす。
「とげがいると、みんな、不幸になっちゃう…」
パパも、せんせいも、かいとくんも、本当のお父さんお母さんだって………、
途切れ途切れそう言う棘を抱き上げ、ぽんぽんと頭を撫でる。
「確かに…朝ご飯も夜ご飯も作らなきゃいけなくなったし、掃除も洗濯も量が増えたし、甘えん坊でドジっ子な棘をいつも見てなきゃいけないし」
棘がいたらなぁ…
そう言うと、千切れそうな程強く僕の服を握りしめる。
けど、僕は知ってる。
「確かに毎日正しい生活リズムで生活できるんだ。前より気持ちもスッキリした。で、何より笑顔が増えた。写真も増えたしな。」
死にたいと思ってた僕が生きようと思えたんだ。
棘がいたからな。難しいかもしれないけど。
棘は呆然とした表情で、見上げている。
「とげ、邪魔じゃない？」
「うん」
「嫌いにならない？」
「もちろん」
「ずっと一緒？」
当たり前、と笑顔で返すと今日1番の笑顔がみられた。
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nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません！編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います！わざわざありがとうございます！嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (
レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか？これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか？ (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nanox | 作成日時：2021年2月28日 23時
