30話 ページ34
A視点
「私疲れたから荷物見てるわ」
だから先生泳いできてください、と素敵な笑顔で家入さんに見送られたのが数分前。
「ちょっ、と…待って下さい!ウッ………ブハッ!」
僕は何故か海の深い所にいた。
__棘ごめん…。僕は今日、死ぬかもしれない。
先程まで浅い所でバシャバシャと水遊びを楽しんでいたはずだ。
「せんせー泳げるんですよね?」
見せてよ、なんていう提案さえなければ。
「ぶくぶくぶく……」
小学生も鼻で笑う様な拙さで、半分溺れながら泳ぐ。
「せ、先生っ…フフッ」
夏油君は想像以上の僕の泳ぎを見て半笑いで、大丈夫ですか…ッ、と手を差し伸べてくれる。
「ありがとう……ござい、ます」
死にかけの顔でその手を掴み、何とか足のつく場所まで辿り着いた。
頑張ってバランスを取り立ち上がったその時、
「ブハッ」
何かに足を掴まれ、引っ張られる。
僕は顔面からダイブ。
後ろで犯人だと思われる男は、
「せんせー全然泳げてないし…!」
ハハハッ!と笑っている。
__五条悟……っ!
イラッとした僕は手で水鉄砲の形を作り、整った顔面へ向けて水をとばす。
「ふーん、先生そんな事するんだー」
しかし、五条君は難なく無限でそれを防ぎ、ニコニコしながらこちらへ近づいてくる。
__まずいっ…!
逃げようとしてあたりを見渡すも、海、海、海。
完全に逃げ場を失った僕は目で夏油君に助けを求めるも、夏油君は苦笑い。
結局僕は大人しく仕返しを受けるしかなかった。
その後も水のかけあいをしていたのだが、いつの間にか夏油君も巻き込まれ、最終的には呪力の籠もった水まで飛び交っていた。
熱くなっていた僕達は家入さんに止められるまでずっとやり続け、気づくと砂浜に大量の穴があいていた。
__これは、反省文だ……。夜蛾先生に怒られる…
めちゃくちゃ後悔した。
そして僕は、慣れない水泳をしたせいで全身筋肉痛を患っている。
みんなも疲れたのか帰りの車の中はとても静かだった。
__こんな時間がずっと続けばいい。
柄にもなくそんな事を思い、寝息しか聞こえない車内で今日の晩ごはんを考えながら帰った。
1060人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません!編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います!わざわざありがとうございます!嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか?これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか? (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:nanox | 作成日時:2021年2月28日 23時