29話 ページ33
A視点
照りつける太陽の下。
焼けるような砂浜に、煌めく水面。
僕達は海に来ている。
「すいません、我儘を言ってしまって…」
「いやいや、いいのよ!」
今日はとある海水浴場で呪霊が出るという噂があったので、一年生と共に調査に来ていた。
海は多くの人にとって恐怖の対象になりやすい場所である。
調査をしていくと、案の定呪霊は現れ、僕達に襲いかかってきた。
しかし、夏油君に軽く小突いかれたその呪霊は逃げ出そうとした所を五条君に消し炭にされた。
僕達は出る幕がないほどの雑魚で、予定より大分はやく任務が終わってしまったのだ。
「どうせなら海で遊ぼうぜ」
と誰が言い出したのかは分からないが、いつの間にかそういう流れになり、管理人さんに無理なお願いを聞いてもらったのだった。
水着は適当にここらへんの店で揃えた。
「昔はもっと沢山の人がいたんだけどねぇ…最近はお化けが出るとかで全く人が来なくなってたのよ」
だからこうしてこの海で楽しんでくれる子供が見られて嬉しいわ、と管理人さんは笑う。
急なお願いをきいてくれた管理人さんには本当に感謝しかない。
__しかしこうして見ていると、ちゃんと高校生なんだな……
何時も最強と言われている三人とは思えないほどはしゃいで、心の底から楽しんでいるようだ。
僕は少し離れたパラソルの下から体育座りで見ている。
五条君に掛けられたラッシュガードを羽織り、家入さんに渡されたサングラスを掛け、夏油君に預けられた帽子をかぶるという不思議な格好をしていたりする。
少し経って疲れたのか夏油君がこちらに休憩しに来た。
「先生、マフラーしてないの珍しいですね」
「まぁ暑いですから」
なんて他愛ない会話をしながら、お疲れさまです、と水を手渡す。
ありがとうございます、と夏油君は受け取り、水を飲むのだが、なんと言うか…
__絵になる……
確実に筋肉量で負けている。一体どんな鍛え方をしているのやら。
「不覚です…」
小さく呟くと、夏油君に聞き返されたが、何でも無いです、と誤魔化した。
「先生は泳がないんですか?」
彼の純粋な質問にウッ…と息が詰まる。
「泳げないです…」
何時もの癖でマフラーに顔を埋めようとするもマフラーが無く、余計に恥ずかしくなった。
夏油君は「フッ」と笑い、いつ来たのか五条君は「先生泳げないの〜?」と煽ってくる。
__……。
「泳げます。」
ほら行きましょう、そう言って海に繰り出した。
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nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません!編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います!わざわざありがとうございます!嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか?これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか? (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanox | 作成日時:2021年2月28日 23時