27話 ページ31
A視点
「狗巻、昇級の推薦がお前に来ている。」
仕事終わり、一息ついて帰ろうとしていたところで夜蛾先生に引き留められる。
帰ろうとしていた足を止め、思わず、ハァ、と溜め息をこぼす。
「断っておいて下さい。」
前も言ったじゃないですか…と呆れ顔で言う。
しかし、夜蛾先生はドアの前から退いてくれる様子はない。
「お前には一級にも劣らない実力がある。」
何故推薦を受けない、と肩をがっちり掴まれる。
何故、と言われると理由は沢山あるが、
「第一、そんな強さが僕にあるとは思えません。」
そう言う僕に今度は夜蛾先生がため息をつく。
「それはお前が決める事では無い、同行する者が決める事だ。」
何か他に理由があるのか、という目線で見つめられる。
「……息子と会う時間が減るのは嫌ですから。」
マフラーで何時もより顔を隠しながら、聞こえるか分からないくらいの声で呟く。
すると、夜蛾先生は予想外だったのか驚いた様な表情をし、次第に「ハッハッハ!」と笑い出した。
なんで笑うんですか…と睨むと、
「お前も親バカになったもんだな」
としみじみ言われた。
まぁ、教員になる時に特別に単独の行動を許可してもらっているし、殆ど一年生と共に行動している為、あまり意味はないのだが。
「そういうことなんで、失礼します。」
夜蛾先生に一礼をして、職員室を出ると、庵さんがドアの横で待っていた。
どうしたのですか?と問うと、お話大丈夫ですか?と首を傾げる。
取り敢えず、空き教室に移動して話を聞くことにした。
「先生はどうして教師になったのですか?」
席に座ると庵さんの方から質問してきた。
__なるほど…
「庵さんは教師になりたいのですか?」
そう聞くと、当たっていたようで、「うっ、はい…」と顔を赤らめて下を向いた。
__どうして…?どうして…、か…。
「どうして、と聞かれると、そうですね…。」
成り行き、ですかね…となんとか捻り出す。
「成り行き、ですか……。」
と庵さんは困っている様だった。
「お役に立てず、すみません…」
庵さんにお辞儀をすると、いえいえ、大丈夫です!と顔の前でブンブン手を振る。
「えっと、じゃあ、この間のお礼って事で、その成り行きってのを聞いても良いですか…?」
庵さんは僕の顔色を伺う様にそう聞いてくる。
__まぁ、それ位なら良いか。
僕はできる限りまとめて話し始めた。
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nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません!編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います!わざわざありがとうございます!嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか?これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか? (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanox | 作成日時:2021年2月28日 23時