16話 ページ19
A視点
電話に出ると、もしもし〜と間延びした声が聞こえる。
「お前は誰で、生徒達に何をしたのか言え」
焦りを抑えきれず、呪言を用いて情報を掴もうと早口で喋る。
「それ呪言ってやつでしょ。知ってる知ってる」
だって、君目当てでやったんだもん。対策ぐらいしてるよ〜
彼は何でもないようにそう言うと、まあ、と一拍置いて、
「そんな事しなくても説明くらいしてあげるから、落ち着こうね。」
と、馬鹿にするような口ぶりで言う。
「簡潔に話してください。僕は気が長くないですから」
イライラして、貧乏ゆすりが激しくなっていく。
彼は、んー、と考えるような素振りを見せると、
「君をこちら側に勧誘したい」
と言い放った。
「君の大好きな景色でしょ、それ。」
君のお父さんの時も、お母さんの時も、お兄さんの時も、関係無い人を巻き込んだ時だって
「……」
黙り込む僕に追い打ちを掛けるように続ける。
「呪術師達は君を弱いと言って4級術師なんて階級にしてるけど、」
君はこんなにたくさんの人を消せるくらい強いのに、とニヤリと笑う。
「何をしたかと聞いているんです」
生徒達に何をしたのか、聞いているんです。
怒気を含んだ声でそう言うと、
あーはいはい、先に説明ね、ごめんごめん怒らないでよ、と反省の欠片もみられない態度で謝る。
「えーと、僕は今日倒された呪術師です!つっても幻覚見せてたんだけど。そんで、その時になんか上手いことやって、時間差で夢に閉じ込めちゃいました〜」
パチパチ〜とおちゃらけて手を叩く音が聞こえる。
「まー五条悟くらい強い奴は直ぐ出てきちゃうんだけどね。」
閉じ込めてる奴に干渉も出来ないし…残念、と呟く。
「そんでそんで、勧誘の方は!?」
先程とは打って変わってテンションが上がっている。
僕は少し考えた後、ハァとため息をつく。
「いいですよ。受けましょうその話。」
まじで!?と驚いたように叫ぶ声が電話の向こうから聞こえる。
「じゃあ、学校の外で待ってるから!」
誰にも言わないで来てね!
遊んでもらえる子供のような純粋さで彼はそう言うと、電話を切った。
__ハァ、馬鹿で助かった…。
騙すのは少し心苦しいが、このまま置いておくと強い呪詛師になってしまうかもしれない。
僕は3人に「少し待ってて下さい」と言うと、校門へ走った。
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nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません!編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います!わざわざありがとうございます!嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか?これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか? (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanox | 作成日時:2021年2月28日 23時