通過点。〔黄〕 (ページ37)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:162,686 hit

▼36 ページ37

.

いい時間になりお会計をして解散した

「家こぉへん？」

とっさに言ってしまった言葉にも

とまどいもせず、うん！と言ってくれる

「さっき照史と何話してたん？」

別にそんなに気になってるわけやない

でも彼女がどんな反応するのか気になって聞いてみた

『ないしょ(笑)』

「なんやねん(笑)」

『私、どこにも行かないよ。淳太くん』

「は？なんやねん急に...」

いつもは1人で音楽を聴きながら歩く道を

君と歩いてることに懐かしさがある

初めて歩く道やのになんでやろな(笑)

『さっきお酒飲んだ時切なそうに笑った...』

「え？」

子供みたいに白線に沿って歩く君には全部ばれてて

あの時と違うのは当たり前なのに

それを一緒に共有できなかった時間が切なくて

『お酒、もう飲めるんだよ』

そう、一緒に飲もうと言って叶わなかった

『ビールは苦いから飲めないんだけどね(笑)』

「子供やんな(笑)」

ほんまは2人で初めてのお酒飲みたかったけどな

『甘いやつなら好きなんだ～』

「カシオレとかやんな？」

『そう、でもまだ飲んだことないやつあるんだ』

「なに？」

そう言って少し前を歩いてきた君が

止まって俺が隣に来るまで待ってくれる

「で、何飲んだことないん？強いやつ？」

『ううん、ウーロンハイ、淳太くんが好きな濃いめのウーロンハイ』

そう笑って言う君はウーロンハイなんて言葉が似合わないくらい

優しくて子供みたいやった

『これだけは絶対淳太くんと飲みたかったんだ』

ほんま、あんまりそういう事言わんで

俺、まだ一応我慢してんねんで！！

「いつでも作ったるよ」

『ほんと？じゃあ後で作って！』

「今日はあかん、たくさん飲んだやろ？」

もちろん家に帰ってからウーロンハイは出さん

その代わり俺の冷蔵庫に新しい飲み物が2本追加された

それは

君の好きな紅茶とジャスミンティー。

『これは明日の分！これはー...いつか！いいでしょ？』

「いつやねん(笑)！ちゃんと飲んでや(笑)」

.