ロンドン公演 3 ページ41
youside
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ステージに戻ってもずっと考えてる
あの目を真っ赤に腫らした彼女に会って事情を聞いて思った。
ここは、いつもの日本でも韓国でもない。
ロンドン、イギリスだ。
だから、英語だって使う。
ここにいる方たち、ここに私たちの歌を聞きに来ている人たちには
1度だって会ったことがない。
当然だ。初めてここに来たのだから、私たちが。
でも、その当然を忘れちゃいけない。
ここにいる人たちだって、待っていた時間がある。
楽しみにして来て、私たちはそれに準じるパフォーマンスをする必要があって
楽しませなきゃいけないんだ。
一生にこんなイギリスのロンドンで公演が出来るなんて何回あるかわからない。
まず、怖がっていた自分に気づかなきゃいけなかったんだ。
また足が、なんて何回考えて身震いして思ったんだろ。
事実上、完治はしている。
よくあることだ。
脳が勝手に理解してるつもりになって警戒してリミッターをかける。
っそうなると？
これは調子が悪いんじゃなくて考え方の問題だとわかった。
彼女のおかげ。
あんなに、泣いてまで私たちに私に会えて喜んでくれる人が居るのに
何を出し惜しみしてんだ私は。
馬鹿らしい
これでリミッターを外すことが出来なかったら
自分の骨をネジにして足首に入れた理由は？笑
大丈夫。
アスもジュジュもいる。
会場に広がるペンライトの色は私たち1人1人を思ってくれる人たちだ。
いよいよ最後のサビだ。
「はっ！ｲﾋﾋッ…っ！」
自然と笑いが込み上げる。
高く体が持ち上がって
全ての世界が見えるみたいに自分自身の体の隅々まで指示が行き届く。
頭からつま先、指先まで自由自在になった体は
なんて気持ちがいいんだろう。
皆に置いてかれるかもって思っていた自分も
大丈夫っていう言葉が嫌いな自分も
まだそんなこと考えてんの？
って必ず見下してやる。
私が技を成功させると
360度からとどめなく歓声が聞こえる。
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作者名：黒髪の犬 | 作成日時：2021年8月31日 15時
