絶対零度の死神

16人目　誘い ページ16

「…至近距離で撃ったね?
　初めてにしてはすごいじゃないか。」





声のする方には、青年がいた。
ニヤニヤ笑いながら、零一郎の殺した死体を眺める。


…この人、いつからいたんだ…?


「…あぁ。彼は『羽二生 紫音(はにゅう しおん)』。
　殺し屋だよ。」
「康大君と一緒に社長さんを殺しに来たんだけど、もう死んじゃってるね。」

死体を眺めながら話す彼は、なぜか楽しそうだ。

「…康大って、薬師さん?」
「俺が護衛についたのも、作戦のうちに入っている。
　ここの奴らに『味方』の意識を高めて、その隙を見て殺すんだ。」
「薬師さんも、殺し屋だったのか…。」

意外だ。
薬師は見た目からして優しそうな人物だ。
簡単に、人を殺すような人には見えない。

「零一郎、だっけ?
　どうだい?両親を殺したやつを殺して。」

ニヤニヤした顔で、問いかけてくる。



「関係者全員を殺すまで、気が済まない。」



薬師は目を丸くする。
紫音は予想通りの答えだったのか、ニヤニヤ笑う。

「保志家の者は、全員殺したよ?
　残念だなぁ。君が人を殺すところ、見てみたかったな。」
「紫音、それは…。」









「殺し屋にならない?」

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