この術式で生き抜け！！

京都姉妹校交流会１ ページ34

「な、なんでみんな手ぶらなのー！？」




野薔薇ちゃんの声が響く。
うーん野薔薇ちゃんのキャリーケース可愛いなぁ。




「ん？お前こそなんだその荷物は」




パンダに心底不思議そうに尋ねられたキャリーケースを引いて、片手には京都の観光雑誌を持ったまま野薔薇ちゃんは、困惑した顔で私たち全員を見た。



まあねぇリアルでこういうことあったらビビるよね。




「何ってこれから京都でしょ？京都"で"姉妹校交流会…」


「京都"の"姉妹校"と"交流会だ。東京で」


「嘘でしょー！？！？」




野薔薇ちゃんは頭を抱えてそう言った。
いやいや可愛い間違いだから大丈夫っっ！




「道理で最近会話が噛み合わないわけだ。」


「ですね」


「でも野薔薇ちゃんと京都観光行きたいな、今度タイミングあったら行って見ちゃう？日帰りかもだけど」


「Aさんっ…！！」




うわぁ…目がキラキラ…！！そんな目で見てくれて嬉しいよ！！野薔薇ちゃん地毛も茶髪だけど絶対浴衣に合うと思うのよねー…




「ていうか…なんで京都なのよ！！せっかくの私とAさんのデート延期しちゃったじゃない！二日目は真希さんと観光の予定だったのに！」


「去年勝った方の学校でやんだよ」


「勝ってんじゃねーよ！！！バカ！！」


「俺らは去年でてねーよ。去年は人数合わせで憂太が参加したんだ」


「"里香"の解呪前だったからな、圧勝だったらしいぞ。京都でやったから見てねーけど」




と、そこで真希さんはあれ？という顔をして私の方にくるりと向いた。




「A、お前去年京都側の任務行ってたよな？そのタイミングだったりしたか？」


「あーあれね。タイミング被ってたから見に行って応援だけしたよ」


「で？」


「あれは勝てるビジョンが見えない(断言)」


「…まそれぐらいヤバかったんだな」




今度は納得、という顔をして真希さんは笑った。
そしてそれを聞いたのかどうかはわからないが野薔薇ちゃんが後ろで「許さんぞ乙骨憂太ー！！」と叫んだ。膝汚れちゃうって




「おい、来たぜ」




ピンと糸が張ったように真希さんの声に合わせて、全員が前を見る。




「あらお出迎え？気色悪い」


「乙骨いねぇじゃん」




嫌味な言葉の言い方が上手すぎるのが真依ちゃん。

乙骨くんがいなくて残念がっているのが東堂。

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