この術式で生き抜け！！

十種影法術使い２ ページ31

ちらりと横目で先輩を見るも、嗚呼アレはもうダメだ。
完全に可愛い後輩を見守る目になってしまった。
俺の事なんか完全に意識してない。



くそ…また、タイミング逃した。



とりあえず目の前でドヤ顔している釘崎にはあとでデコピンだのをしてやろうと決意した伏黒であった。



ニコニコと自分たちを見ている先輩。



A先輩は疑う余地のない善人だ。
…まあ時折おかしな行動を取ったりするけど。



呪術師はその身を削って非術師を助ける仕事でもある。
個人個人、それには異議があるかもしれないが表面上はそういう仕事だ。



A先輩はそれをそのまま体現したかのような人だ。



初めて会った時は馬鹿みたいに良い人だと思った。
いつの間にか目で追ってるようになってた。



こんな簡単なモンなんだとそのとき思ったのは記憶に新しい。




「恵くんは？」


「…え」


「アンタ聞いてなかったわね。先輩、私が伏黒の分も食べます！！」


「いや、う、」


「まあまあ野薔薇ちゃん…いーよいーよ気にしないで！お土産のアイス何がいいか聞いただけだから！」


「じゃあ、チョコレートで…」


「意外と王道！」




あぁーもう、この思い伝えられるのは何時のことになるのやら。



こんな世界だ。
俺も先輩もいついなくなるかわからない。



それでもまだもう少しだけ先輩の後輩でいたい。

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