十種影法術使い1 ページ30
伏黒恵は不機嫌だ。
この間虎杖と野薔薇にイタズラでドッキリを仕掛けられたときぐらい、いやそれと先輩を比べるのは色んな意味で嫌だな。
とにかくすごーく不機嫌だった。
理由は簡単。
目の前にいるA先輩に対しての不満である。
とある日、任務に行ったきり全く帰ってくる気配のない先輩に伏黒は肝を冷やした。
メールをしても既読すらつかず、他の二年生に聞いてみても全員A先輩の居所を知らないと言う。
──先輩はどこに、まさかあのときの俺たちみたいに未登録の特級呪霊…?
──そんなはずない、だってなんでもないただの低級呪霊の討伐だって…!
必死の思いで高専を出る道を駆け抜けていた。
そこに先輩はいた。
なんでもないような、でも俺が走ってきたことに少しだけ驚いている顔をして。
どこに行っていたんだと問えば任務だと返される。
それはわかってんだよ!!なんてとてもじゃないが先輩には言うことが出来ないので心の中までにしておく。
かと思っていたらポンと頭に手を置かれる。
術式の影響なのか、A先輩の手は夏でも少し冷たい。
子ども扱いされているのは癪だ。
しかし先輩からしてみれば後輩との接し方だったらしい。それなら、今はその立場でもいいかと甘んじてしまう自分は相当手遅れだろう。
そんな先輩自身から許してほしいと言われたら許すしかないじゃないか。
いつの間にか怒りは消えていた。
──でもそれはそれだ。
任務じゃないならじゃあどこにいたんだと聞くも何も教えてくれない。誰といたのかも全くもって教えてくれない。
変なところで口が堅いから困る。
もし男と一緒にいたのかと思うと気が狂いそうになるが…この先輩からしてそれは無いなと気持ちを落ち着かせる。
「まあ、いいですよ。無事に帰ってきてくれましたしね」
「あぁ〜…ご、ごめんね?」
「本当にもういいですってば…俺、A先輩のことがた」
「A先輩ー〜ッッ!!!」
そんな伏黒の言葉は遮られた。
他でもない同期の釘崎野薔薇によって。
「あぁーー!!A先輩ー!帰ってきてくれてよかった!」
「え〜野薔薇ちゃんも心配してくれたの〜?嬉しいなぁ!」
「先輩ッ!あのむっつりスケベがなに言ったか知りませんけど私の方が心配してましたからね!!」
「は!?オイ釘崎オマエ!」
「ハッ、頭撫でられて満足してたヤツは黙ってなさい!」
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蘆花(プロフ) - MR サナリアさん» 癒しになりましたか!良かったです!!全然今リクエストは受付中なのであったらお待ちしてますね!いつもコメント嬉しいです! (5月4日 12時) (レス) id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - すずかさん» ご期待に添えたみたいで良かったです〜!私も書いててめちゃくちゃ癒されました…!ありがたいリクエストでマジでありがとうです(?) (5月4日 12時) (レス) @page46 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - ページ46.癒しをありがとう… (5月4日 11時) (レス) @page46 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
すずか(プロフ) - ぬわぁぁぁ可愛い!!!😇リクエストこたえてくれてありがとうございます!! (5月4日 9時) (レス) @page46 id: b61b0297d7 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - すずかさん» 初コメありがとうございます!何それ可愛い…癒される…!本編と比べると平和すぎ〜…! (5月3日 17時) (レス) id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘆花 | 作成日時:2024年4月14日 22時