【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS (ページ41)

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真紅の薔薇ふたつ２ページ41

僕がそんな事を思っていると、コノハヅキさんはここで初めて僕の顔を見て、さらに仰天するような事を言った。

「仕事じゃない。ハネムーンに行くんだ。」

ハ、ハネムーン？！
「……えっ、あ、おめでとうございます。」

え、でも、そんな電撃的な……
まだ今日だよ？
コノハヅキさんが『ユウミさんは未来の僕の奥さんだ』って言ってたのは……。
それなのに、一体誰と結婚するのだろう。

「えっと、誰と行かれるのですか？」
僕は思わず聞いてしまう。
すると、コノハヅキさんはニッコリ笑って「決まってるじゃないか？ユウミと、だよ。」と言った。

「えっ………！ユ、ユウミさんと……？！」

は、はぁぁぁ？！
そんなの、嘘だ！

驚きのあまり、僕は弾かれるようにベットから起き上がろうとした。

ところが……全身に全く力が入らず、起き上がるどころか腕や足を動かすことも出来ない。
「あれ、あれ？？なんで………？！」

よく見ると、恐ろしい事に僕の右腕の血管は、何かの刃物でスッパリと切り開かれていた。

「あ、あ、あ、」

今もそこから真紅の血が絶え間なく溢れて、緩やかにベットの下に置いてある透明なバケツへ流れ込んでいる。

……コノハヅキさんはそれに筆を浸して薔薇を描いていたのだ。

「そんな！！コ、コノハヅキさん……！」

「悪いね。君とは友達になれそうだったけど……。」
驚きで声が出ない僕を省みる事なく、コノハヅキさんはまたキャンバスを見つめ、忙しそうに筆を動かしていた。

「わかって欲しい。愛するユウミとのこれからの生活の為に、僕は少しでも危険を排除したいんだ。」
「ぼ、僕は何もしてないのに？！」
「これからするかも知れない。悲しい位にいつも一生懸命な君のことだから、ユウミを僕に盗られて黙ってはいられないだろう？

後そうそう、もし僕とユウミの気持ちを汲んで君が何もしなかったとしても……僕の敵に捕まって脅されたりしたら、耐え切れずに何かを言ってしまうかも知れないしね。」

そうなったら困るんだ。と、コノハヅキさんは言った。

嘘だ、嘘だ、嘘だ！！
酷いよ！！
そんな、あんまりだよっ！！

「そ、それを言うなら、僕よりもリーオックさんの方が！」と僕が言いかけると、コノハヅキさんは口元に薄い笑みを浮かべ、もう一つのあの迫力ある薔薇の絵に目を落とした。

「リーオックね……。確かに、彼が生きてたら大変だったろうね。いつも邪魔をして来たから。でも、もう決着はついたから安心だ。」