その笑顔のツケ ページ32
それならば、腰を抜かして動けなかったとしても、ユウミさんが来て場が和んだ時に何とかして退散すれば良かったでしょうに……というのが多くの人の意見だと思う。
でも、ユウミさんが「皆、料理を気に入ってくれるかしら?」というような心細げな表情をしていたら、何としても食べるしか無いじゃないか!
だから僕は「バカ!バカァ!もう無理だって!」とお腹が悲鳴を上げているのにも関わらず自分の分をしっかり平げた。
ユウミさんは、「リーハさん、嬉しいです!そんな風にモリモリ食べて頂けるなんて……」と言って喜んでくれた。
更に、「リーハさん、このスープに入っているレタスも、今朝収穫したものなのでとても美味しいですよ!遠慮しないでたくさん召し上がってくださいね!」なんて言われたら遠慮したくても出来ない。
天敵のレタスが入っているのにも関わらず、僕は何度もお代わりしたんだ。
さっき、二人に「僕は出て行かない!何があっても生き抜いてやる〜!」と啖呵を切った建前もあるけど……
ただ、笑顔のユウミさんを見ていたかったからだ。
………そのツケが、今廻ってきている。
ランチタイムの終わりまで粘った僕は、リーオックさんとコノハヅキさんがダイニングを出て行ってしまった後も、テーブルの上のお皿を片付けるふりをして……椅子から動けずにいる。
腰はもう大丈夫そうだけど、お腹が痛い……。
さっきから“グ〜ギュルル〜”と嫌な音を立てっぱなしだ。
敵がレタスだけなら、なんとかなりそうな気がしたんだけど……。
あの二人の脅しと気分悪い会話の所為だろうね……。
完全にお腹の中で暴動が起きてる……。
うっかりすると、僕の喉元にまでせり上がって来るので、慌てて手で口を押さえる始末だ。
でも、せっかくユウミさんが作ってくれたご飯を、……吐くなんて……もったいないよ……!
頑張れ!僕の胃!
大腸、小腸、十二指腸!
なんとか消化するんだ……!
しかし、いつまでもこのダイニングルームには居られない。
「勉強はしますよ?!」と言った僕の強い気持ちをあの二人に疑われたくは無いし、ユウミさんには「勤勉な人ね」って思われたいから、ここでお腹の痛みが治まるまでボ〜ッと休んだりは出来ない。
僕は足を踏ん張って立ち上がると、お腹をさすりさすり、階段を登った。
集中して……勉強してたら……
忘れた頃に治るでしょ……
どうしても……痛いのに耐えられなかったら……
部屋で休めば……良いし……
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シャーロック - 木の葉月さん» うん、お休み〜また明日ね! (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
木の葉月(プロフ) - シャーロックさん» 全然美人じゃ無いっすよ。ちょっと風呂入って来るんで、また明日話そ。 (2021年4月7日 23時) (レス) id: ac1426199a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック - 木の葉月さん» うわ、結構時間掛かるのね。コノハヅキはびじんだろーな〜 (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
木の葉月(プロフ) - シャーロックさん» へへっ!30分前くらいに帰ってきたで (2021年4月7日 23時) (レス) id: ac1426199a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック - 木の葉月さん» おお、お疲れ様〜! (2021年4月7日 23時) (レス) id: 00557ff71e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木の葉月&シャーロック x他2人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sherlock_rio?s=21
作成日時:2020年10月3日 18時