【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS (ページ23)

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救世主ページ23

気づくと僕は、二人の動きにすっかり魅入られていた。

銀のナイフはきらきらと光の尾を引いて、まるで流れ星のようだ。
あぁ、殺伐としてるのになんて繊細で美しいんだろう……。

って、おい！
僕は頬を叩いて、現実逃避に入った自分にカツを入れた。
こんなのに順応しちゃダメだろう、僕！
二人がちょっとでも投げるのを失敗したら、僕が死ぬんだぞ！ていうか、殺し合いの意味を分かってんのか？！このままだと死体が出るんだぞ！

二人を止めるんだ！
ユウミさんの為にもなんとかしろーっ！
動けーーっ！

三度目の正直、と僕は足を踏んばり、なんとか中腰くらいの姿勢になるのに成功した。

よし。
まずキッチンに行って、事情を話しユウミさんに逃げてもらおう。
その後で僕が警察に電話すれば、この状況を終わらせる事が出来る筈だ。

作戦を練りながら震える手でキッチンへの扉のノブを掴む。

そこへ、鋭いナイフが飛んできた。
僕の鼻先を。

三本も！！

ﾋｴｪｯ...！
怖い！！！！

僕は息を呑んで後ろにひっくり返った。
危ういところで助かったけど、もう無理だ。
腰が砕けて立ち上がれそうにない。
あああ、もうダメだ……
僕はそのまま、絨毯の上に体を丸めて小さくなった。

もう耐えられないよぉ……
お願い、誰か助けて....

神様……！

僕が泣きそうになっていたその時……

ｶﾞﾁｬｯ

恐れていた事が起きた。

ああああ！
ダメだ！ユウミさんは危ないから来ちゃいけない！

僕が制止する間もなく、扉を開けたユウミさんはいくつもの料理を乗せたお盆を抱え、にっこりと微笑みながら、後光と共に部屋へ入って来た。
「皆さーん！お待たせしました！ご飯が出来ましたよ！！」

その途端。
リーフさんとシャーロックさんの動きがピタッと止まった。

ゑ？

止まった...？どう言う事？
ユウミさんが来たから？
え？

それだけじゃない。
二人は一瞬で、空中の全てのナイフやフォークを捕まえ、テーブルの白ナプキンの上に元通りに置き、満面の笑みで椅子に腰を下ろした。

「ユウミさん、ありがとうございます！とても楽しみにしていました。おや、これは僕の大好物じゃないですか。一日目からこれとは……感激だ……！」

「これは素晴らしい！！ファンタスティックだ！ああ、ユウミさん、お疲れでしょう？後は俺達で運びますから、構わず休んでください。ささ、その椅子にでも座って……」

おい……

何だよその態度！！
さっきの殺気はどうしたんだよ！？