音の波紋を、雷へ【イナズマイレブン】 (ページ47)

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◇ 尾刈斗戦 03 ページ47

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そのままAはディフェンスをものともせず突き進み、ついにゴール前まで躍り出た。

(多分、このゴールキーパーはフォルテシモみたいなシュートは通じない……なら！)

Aはボールを空中へ蹴り飛び上がる。
そして右足で交差になる様に蹴りを入れ、そしてシュートを放った。

「 ――― 〝Tempo Rubato(テンポ・ルバード)〟」

桃色に近い淡い赤色を纏いながらそのシュートはゴールへ向かう。
テンポ・ルバードとは、音楽用語の中で「自由な速さ」と言う意味がある。

その意味の通り、最初は遅いかと思いきや徐々に速くなったり、はたまた緩やかになったり、それはA自身の蹴り方によって異なる。

その自由な動きに困惑したキーパーは、そのままゴールを許した。

〈雷門中同点！！神童の必殺技が炸裂ーー！！帝国戦の際のフォルテシモとは違ったが！！流麗な技で同点に持ち込んだあああ！！！

同点のまま、前半終了ーーー！〉

(あとは、皆が気付くだけ。)

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「くそっ、どうなってるんだ……」

「急に足が動かなくなるなんて……」

「やっぱり、呪いじゃあ…」

前半が終わり、部室で作戦会議をする。
皆が険しい顔や、怯えたような顔をする中、円堂は明るく「前半が終わったばかりじゃないか！」と声をかけた。

だが壁山は、見たこともない現象に今にも泣いて逃げ出しそうだ。
それを風丸と宍戸が抑え、風丸は呪いなんてあるわけが無いと言うが。

「だったら！なんで足が動かなくなったんすかぁ！」

「わからない…、でも！絶対なにか秘密があるはずだ！

……！そういえば、あの監督が呪文を呟き始めてからだよな。尾刈斗中が変な動きをしだしたのって。」

春奈が確かに、と納得する。秋も、あの呪文に秘密があるのかと考えた。
すると、風丸がAに声をかける。

「そういえば、A。さっき、尾刈斗中のヤツらが変な動きしたあと、ボール奪えてたよな。」

「確かに……！」

「A、なんで動けたんだ？」

円堂に問われると、Aは肩を竦めながら答える。
今ここで言うと、皆の成長にもならないだろう。
自身がそこまで言える立場ではないのは分かっているが、Aは黙っていることにした。

「うーん、残念だけど…私からは言えることないなぁ。正直、ある程度は分かってるんだけど全部言っちゃったら皆の為にならないし……」

「そっか……」

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