◇ ありがとう。 ページ43
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「でも……」とAは、下のほうに視線を向けながら足を止めた。
それに合わせて豪炎寺も足を止め、Aの方へ体を向ける。
「いくら妹を思う気持ちが分かるとはいえ、無神経な事沢山言っちゃった。
ごめん。キミの……豪炎寺の気持ちを否定する様な事して、本当にごめん。」
カーディガンの裾を握りながら、やけにしおらしく謝るAの姿にあの怒鳴る姿がやけに印象に残っていた豪炎寺は驚く。
そして、優しく笑った。
「嗚呼…、でも、俺がまたサッカーに…妹に、向き合えたのはお前のおかげだ。ありがとうな。」
「……、うん、これからよろしく。豪炎寺。私の事はAって呼んでね。」
「おう」と力強く頷く豪炎寺は、先程のしおらしい様子を思い出したのか、軽く笑った。
「にしても、あんなにしおらしく謝るなんてな。あの日怒鳴っていた姿からは想像が出来ないよ。」
「う……、；私だって、悪いと思ったことはあやまるよ。
それより、豪炎寺。頑張ってね。」
「……？頑張る？」
「私、不器用なへなちょこストライカーには神のタクトの指示出さないからねぇ〜」
べーっと舌を出しながら揶揄う様に言ったAに、豪炎寺はストライカーとしてのプライドに火がついたのか、挑戦的に口角を上げながら返す。
「それは楽しみだな。けど、逆だ。お前が思わず俺に指示を出さなければいけない状況にしてやるさ。へなちょこなんて言わせないぞ。」
「はあ〜〜？ウチには染岡もいるしそんな状況来るかわかんないしぃ。調子にのんな」
お互いに軽口を叩き合う。
そして、お互い無言になった時、二人は顔を見合わせて同時に吹き出した。
「あははっ、今まで隣同士でろくに会話もしてこなかったから気まづかったけど、それが嘘みたい」
「ああ、今まで話せてなかったのが惜しいな。」
その言葉に「じゃあ、」とAは返す。
その顔には、穏やかな、何処か楽しそうな笑みが浮かんでいた。
「これからはもっとたくさんたくさん話そうよ。技の事とか…、戦術の事とか。
同じ雷門イレブンとしてさ。」
「ああ、そうだな。」
「一緒に頑張ろうね。でも―――負けないよ。同じサッカー選手として。」
「望むところだ」
二人の固い握手を、夕日が照らしていた。
(豪炎寺ってクールだよね)
(そうか？)
(うん、恋愛とかあんましなそう。)
(……お前となら、いいかもな。)
(なんか言った？)
(何でもない。)
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ナルナル(プロフ) - 続きが月すごく気になります！これからも頑張ってください！応援してます！ (11月10日 16時) (
レス) id: fd6767c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年11月6日 16時
