音の波紋を、雷へ【イナズマイレブン】 (ページ42)

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◇ きょうだいページ42

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「神童、少しいいか。」

その日の練習が終わり、Aが帰ろうとすると豪炎寺に呼び止められる。
それを疑問に思っていれば、「送る」と簡素に言われ、話がしたいともついでに言われた。

「それで、話って何かな？」

帰り道を二人で並んで歩くと、Aが話を切り出す。
問いただされた豪炎寺は、切れ長の目を少し伏せ、それからしっかり目を見て話し出した。

「――― ありがとな。」

「へ？」

「この前、お前と河川敷で話した後…雷門にも言われたんだ。
俺がサッカーをする事を一番に望んでるのは誰だってな。」

そういえば、あの後橋を見れば黒塗り高級車があったなと一人で納得する。
夏未も雷門サッカー部に絆されているのだろうか、と少しうれしくもなった。

「あの時、お前に怒鳴られた時……、頭を殴られた様な気分だった。

俺は、妹のサッカーが好きだという気持ちを俺自身が否定するところだった。
気付かせてくれたことに、礼を言いたかったんだ。」

豪炎寺はそこまで言い、Aの目を見るとポカンとした顔をしていた。
その表情に、どうかしたかと問うと「ああいや……」と片手を首の後ろに持っていきながらポツリと話す。

「てっきり、あの日の事怒ってんのかと思って……、」

「怒る？」

「だってほら、私無神経なことズバズバ言ったじゃん。」

「ああそれは… 」

「キミが納得しても、私は納得してない。

ああやって言った理由なんだけどさ、私……弟がいるんだ。」

「弟？」豪炎寺は思わず聞き返す。それに、軽く頷きながらAは話し出した。

「豪炎寺の妹ちゃんと同じくらい…、それか、少し下くらいの弟なんだけど……泣き虫なやつでさ。

私、財閥の令嬢だからさ。両親の手伝いとか、部活とか…そういうのであんまり構ってやれてなくてさ。」

どこか寂しげに、ポツポツと話し出すAに豪炎寺は聞き入る。

「でも、あの子は…それにもかかわらず私のサッカー、ずっと応援してくれててさ。

その気持ちだけで、すっごい頑張れて……

だから君と妹ちゃんの話を聞いた時、自分の弟のこと想像しちゃったんだあ。」

「その思う気持ちは誰よりも分かる。」とAは豪炎寺に言った。
妹や弟を思う気持ちは、A自身もよく分かっているからだ。

豪炎寺はそういう事か、と一人納得する。

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