◇ 豪炎寺夕香 ページ35
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頭を下げる円堂を、静かに見つめる豪炎寺に円堂の後頭部を指で軽く叩きながらAも声を掛ける。
「悪気があった訳じゃないよ。此奴も。ただ単純にキミを心配して来たんだからさ。
とはいえ、私も無神経だったね。ごめん。」
そしてAも、軽く頭を下げた。
円堂が頭を上げると、ネームプレートに書かれている名前が視界に入る。
「入院してるのって……」
「…、妹だ。」
「妹…？」
「全く、お前には呆れるよ。
確かに、とA自身も思う。
帝国戦前円堂は豪炎寺の事を物凄い勢いで勧誘していた為呆れる程のものだったのだろう。
それに対してAは、隣の席というだけで余り話さないし、ハッキリ顔を合わせたのは帝国戦が初めてだった気がする。
「入れよ。」
豪炎寺に二人とも促され、病室に入る。
病室の中には豪炎寺とは違う、Aと似たような茶髪を結んだ小さい女の子が眠っていた。
「夕香って言うんだ……もうずっと眠り続けてる。…話すよ。出なきゃお前ら、帰らないんだろ。
……夕香は、去年のフットボールフロンティア決勝の日からずっとこうなんだ。」
去年のフットボールフロンティア決勝戦は帝国学園と木戸川清修の試合だった。
豪炎寺の妹、豪炎寺夕香は兄の試合を、活躍を楽しみに、必ず応援に行くと言っていた。
妹の笑顔を見たのは、それが最後だった。
スタジオへ急ぐ夕香の元へトラックが迫り…、悲劇が起こってしまった。
「事故のことを聞いたのは、試合の直前だった。」
「だから、お前は……」
「病院に向かったよ。」
この病院には豪炎寺のお父さんが務めているらしい。
豪炎寺が転校したのも、その都合だと言う。
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ナルナル(プロフ) - 続きが月すごく気になります！これからも頑張ってください！応援してます！ (11月10日 16時) (
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年11月6日 16時
