音の波紋を、雷へ【イナズマイレブン】 (ページ23)

今日:66 hit、昨日:573 hit、合計:32,326 hit

◇ 帝国戦 06 ページ23

◆◇◆◆

「これから、ある方法を使って奴等に1点返す。」

「！返すって……」

「その為には、円堂にゴールを確実に止めて欲しいんだ。」

いつになく真剣なその瞳に、思わず円堂は息を飲む。
その緊張した面持ちに気付いたのか、力の抜けた笑みでAは笑った。

「キミにこう言うのは重荷になってしまうかもしれない。けど、キミだから言うよ。────信じてる。」

「…！」

「誰よりも諦めない心を持ってる円堂なら、きっと出来るさ。」

手をヒラヒラと振りながらポジションへ戻っていく背中を見詰めた円堂は、気合を入れ直す様に両頬を叩いた。

◆◇◇◆

試合再開。

試合再開のホイッスルが鳴り響く。

帝国のキックオフが始まった瞬間、A帝国エリアへと走り出した。
これには雷門イレブンも驚く。

〈おーっと！？女子選手が単独で帝国エリアへと向かっていく！！これは何かの作戦か！？〉

「小細工でも仕掛けたつもりか？無駄だぜ！」

そう言い、Aが来る前の様にボールを円堂にぶつけて行く帝国。

(A…俺が止めるのを信じて……、)

尚もボールをぶつけられる円堂。見ている側が辛いほどボロボロになっているが、諦める様子はない。

「これで終わりだ！〝百裂ショット〟！！」

終わりか、と皆が思考を閉じかけた時それを遮るような鋭い声が遮る。

「────円堂！！！！」

円堂がその声の主へ視線を向けると、そこには己を信じ走り続けているAの姿。
その姿を見た円堂はハッとする。

(そうだ……アイツが信じてくれてるのに、俺がそれに答えないでどうするんだ！！！)

「だあぁああ！！！」

「「「「！！！！」」」」

円堂の右手に、黄金が靡く。
その光に全員目を見開いた。ただ、唯一Aだけが笑っていた。

そして、その光が収まる時……ボールも円堂の手に収まっていた。ついに、止めたのだ。

〈とと、と、止めたァーーーーー！！！キーパー円堂！ついに帝国からの必殺シュートを止めて見せたァー！！！〉

「へ、……？」

止めた本人も何が起こったのやらと呆然としている。Aは興奮が抑えきれないというように笑った。

「さいっこうだよ…！円堂！！」

「っ！ああ！！いっけぇーー！！A！！」

Aの声に我に返った円堂は、その手を振りかざしAにロングパスを出す。
Aは胸でトラップして受け取った。

◆◇◆◇◇

◇ 帝国戦 07→←◇ 帝国戦 05