音の波紋を、雷へ【イナズマイレブン】 (ページ19)

今日:204 hit、昨日:573 hit、合計:32,464 hit

◇ 帝国戦 02 ページ19

◆◇◇◆

ボールを顔面に当てられ、
腹に向かって蹴られ、
その間にもゴールを決められ、

雷門イレブンはボロボロのまま立ち上がることもままならず、点差は18点も開いていた。

「出て来いよ…、出て来い。さもなければ、あの最後の一人を…アイツを！」

「叩きのめす！」

鬼道が指差し、寺門がシュートを打った先には雷門イレブンのゴールを守る円堂。

そのシュートは顔面に当たりボールが弾き飛ばされ、そのボールをまた円堂に当てて蹴り返しの繰り返し。

「アイツら…！」

「ゴールを決める事が目的じゃない！円堂を潰すのが目的…！」

円堂がただただボールをぶつけられ傷つけられる様子に、風丸がよろよろと覚束無い足取りで立ち上がる。

「巫山戯るな…こんなの、こんなの…！！サッカーじゃない！！」

「風丸！」

「風丸くん！！」

円堂にボールが降り掛かるかと思いきや、風丸が庇いぶつけられ、ネットまで弾き飛ばされた。

「風丸！…風丸！」

「えん、どう…」

「お前の気持ち、受け止めたぜ！」

何処か怒りを滲ませた顔で、気合を入れた円堂は腰を落として再び構える。

「絶対、このゴールは守ってみせる！」

「フッ…一度として守れてはいないが。」

「〝百裂ショット〟！！」

寺門のシュートが円堂を襲う。円堂が足を踏ん張り、止めようとした時…その手から光が放たれた。
けれど無情にも、得点は重ねられた。

〈止めたかに見えた円堂！しかしボールのパワーは、それをはるかに超えてゴールの中へ！！帝国はこれで…19点目！！〉

「円堂くん…、！」

まさに、絶望。
秋が泣きそうな声で呼んだ時、肩に重みが表れる。そしてその上から、軽薄そうな、どこか明るい声が聞こえた。

「湿っぽい顔は似合わないなぁ、お嬢さん？」

「、え…」

秋は後ろへ振り向き、顔をその人物へと見上げる。
その顔を捉えた瞬間、たちまち笑顔を取り戻した。

三つ編みが、風に揺らされていた。

◆◇◆◇