◇1996年 ページ9
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あの日から、嫌がらせは格段に減った。でも完全に無くなった訳では無い。
今でもネチネチと嫌味を言って来るやつはいるが、もうめんどくさくなって無視している。
それに、デビューしてもいつでも心配してくれる健と剛くんがいるし迷惑はかけてられない。
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その日、ジャニーさんに呼ばれ社長室へ行った。
入った時開口一番にジャニーさんに言われた。
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「Youにお客さんを連れてきたんだ。」
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お客さん…？と疑問符を頭に飛ばしていると、後ろから低めの声が飛んでくる。
「月乃Aさん…ですよね？」
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突然聞こえたその声に沿って振り向き、見上げると若めの男性がいた。
そしてその見た目を見てハッとする。
この人は舞台やドラマ、映画など幅広くプロデュースして活躍している有名プロデューサーだ。
私もこの人のプロデュースする舞台を見て感動していた。
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「率直に言います。貴方に僕のプロデュースする舞台に出て欲しい。君というジャニーズを、僕は知らしめたい。」
「その気持ちは僕も一緒だよ。紅一点っていうのはある意味目立つ。だからこそ、Youには止まって欲しくない。」
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歌、踊り、そして「演技」というものを同時に私がこなせるだろうか。
テレビの奥で活躍する大女優を沢山見てきた。
…見ていただけの私に、出来るだろうか。
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「一応言っておきます。僕は貴方がジャニーズの中で唯一の女性だから選んだわけではありません。貴方の歌や踊りに対する姿勢は、見る者を魅了させる。そこを見込んだまでです。」
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これは、私が引き込んだチャンスだ。
…そうだ。なにを怯えてるんだ、月乃A。
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「分かりました。そのお話受けます。…言っときますけど、私は貴方の脳内に収まる
私の言葉にプロデューサーさんはくしゃりと笑い、奥の方でジャニーさんは予想通りと言った顔で笑っていた。
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年9月23日 4時
