気象系の女王系紅一点お嬢様《過去編》 (ページ6)

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昔みたちょうちょみたいだな、と思った。

俺よりも一年先に入った、顔が整ってる女の子。別にそこにどうこう思う所はなかった。
だって女も何も入ったのは事実じゃん。

ある日レッスン室に忘れ物をして取りに帰った時、その女の子が部屋の中心で踊っていた。

…いや、今思うと舞っていたともいうかもしれない。

心の底から、踊るのが楽しいという表情。
複雑なステップさえも、軽やかに踊りきるその子は。

性別のアドバンテージは、きっとはるかに重いものだろうな。
けどこの女の子は、それを気にせずに踊ってる。

「…今のステップ、どーやったの。」

凄い、綺麗と感想を言おうとしたが口から出たのはそんな言葉で。
その言葉に、へにゃりとした笑みを見せたその子に見惚れたのも、俺だけが知っていればいい。

──────────だけど、差別ということをする奴はいて。

「まだいるのかよ。キモ女。」
「新しい男は落とせましたかー？あ、それとも次は先輩？」
「つーか、」

「なんの努力もしてないくせに、女ってだけでバックにも選ばれるんだもんな。羨ましー」

あの時踊っていた彼女の表情は、嘘なんかじゃない。
血反吐の吐くような努力を誰にも悟られないようにして、我慢して。

だから、俺が代わりに言うよ。

「下らない事してんなよ…！」

Aの音楽は、最高だ。

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大野智 side終