その烏、女騎士。 (ページ18)

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第015話【寸分の狂いも無く】ページ18

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夷守A side

再びサーブを打つ体制に入る。今度は普通ので良いかな、…それにしても、影山の集中力が凄い。さっきので動揺したって思ったのに…

そんなことを考えながらサーブを放った。

影山の頭上へ、フワリとボールが舞い降りる。

影山「(────今！このタイミング…、この角度で！！)」

その瞬間、ブロックが飛ぶ間もなくボールがコチラ側へと叩き付けられていた。
体育館に沈黙が走る。

日向「手に…手に当たったぁ〜！！うぉお〜！！」

月島「大袈裟だな…」

その通り大袈裟にはしゃぐ日向に、月島が怪訝そうな顔で呟く。…てか、ちょっと待って…
私は先程自身の眼で捉えた光景に、顔を引き攣らせる。

「ねぇ…」

月島「？」

「今、日向…目ぇつぶってたんだけど…」

「「「はァ！？！？」」」

月島「あの、どういう…」

動揺を隠せない顔で月島が聞いてくる。田中も影山も、困惑を隠しきれていない。
私は冷や汗をかきながら説明した。

「ジャンプする瞬間から、スイングする迄の間…日向は目をはつぶってた…

つまり、影山がボールを全く見てない日向の掌に、ピンポイントにトスを上げたんだよ。

スイングの瞬間に合わせて、寸分の狂いも無く…」

その事実に、月島は有り得ないと言うような顔をする。日向自身はスゲェスゲェとはしゃいでいたが、影山に詰め寄られていた。

影山「オイオマエェ！！目ェつぶってたってなんだ！？」

日向「お前がボール見るなって言ったんだろー！？目開けてると、どうしてもボールに目がいっちゃうから…」

だけど成功したから問題ないと言い切る日向に、100%信じ切るなんて普通出来ないと言う影山。確かに、目をつぶるなんて恐怖以外の何物でもない。

日向「だって今！信じる以外の方法わかんねーもん！！」

マッジでどうなってんだあのオレンジ…いや、一周まわってただのバレー馬鹿なだけなのか…

影山も、日向の行動で何か変わった様だ。