その烏、女騎士。 (ページ16)

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第013話【優れた目】ページ16

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夷守A side

その後もまぁ、酷かった。影山の速すぎるトスに日向はついて行けず空振り、やっと手に当たったと思えばネットに引っかかる始末。いや漁業かよ。

影山「お前ぇ…！反応早いんだからもっとこう…、バッと来いよグワッと……！！」

日向「バッ！なのかグワッ！なのかどっちだ！！」

田中「重要なのはそこじゃねぇよ……」

その単細胞丸出しの会話に呆れる。つか田中が振り回されてんの面白いな。

そんな事を考えていると、スガセンパイがボールを持ちながら影山に話しかける。

菅原「影山…、それじゃあ、中学の時と同じだよ。」

影山「…？日向には、反射もスピードも…ついでにバネもあります。慣れれば早い攻撃だって…」

菅原「日向のそのすばしっこさっていう武器…お前のトスが殺しちゃってるんじゃないの？」

まあ確かに、それは思った。日向は反射神経や運動能力はずば抜けている、が。それ自体を影山が生かせていない。

菅原「お前の腕があったらさ…こう、なんつーか…もっと日向の持ち味って言うか才能っていうか…そういうのをもっと、こう〜……」

田中「スガさんファイト！」

菅原「なんか！うまいこと使ってやれるんじゃないの！？」

そう言ったあとスガセンパイは、目を伏せながらぽつりと話し出した。

菅原「俺、お前と同じセッターだから去年のお前の試合見てビビったよ。

ずば抜けた才能(センス)と、ボールコントロール…そんで何より、敵ブロックの動きを冷静に見極める目と判断力。

…俺には、全部無いものだ。」

田中「そんな事無いっす…！」

「田中、一回聞いとこ。」

影山とスガセンパイは真逆のように見える。性格などはもちろんプレーの仕方も。
だからこそ、影山に響くものがあるのでは無いだろうか。

菅原「技術があって……やる気もありすぎるぐらいあって、何より…、周りを見る優れた目を持っているお前に、仲間のことが見えないはずが無い。」