その烏、女騎士。 (ページ12)

今日:33 hit、昨日:1 hit、合計:10,006 hit

第010話【騎士】ページ12

.

.

夷守A side

田中「Aはブロックが注目されがちだけど…レシーブも個攻撃力も安定してる。総じて守備力はハンパねぇぞ」

悔しげな顔をしている影山が見え、そちらへ顔を向けながら話しかける。
舐められるのはゴメンなんでね。

「…他より華奢だから…強いサーブ打てば何点か、稼げるとでも思ったの？」

影山「…！」

「確かにキミみたいな才能は無いかもね。でも、伊達に騎士って名前、背負ってる訳じゃ無いし…

─────簡単に崩せるって舐めてると、痛い目見るよ。」

日向「か、カッコイイ〜！」

月島「ほら王様！そろそろ本気出した方がいいんじゃない？」

月島の態度が癪に触ったのか日向がムッとしながら月島に詰め寄る。

日向「はあ？何なんだお前、この間から突っかかりやたさがって！〝王様のトス〟って何だ！」

月島「キミ、コイツがなんで王様って呼ばれてるか知らないの？」

日向「コイツがなんか、すげーうまいから…他の学校のヤツらがビビってそう呼んだとかじゃないの？」

月島「アハハッ、そう思ってる奴も多いと思うけどね…でもウワサじゃ、『コート上の王様』って異名北川第一の奴らがつけたらしいじゃん。」

嗚呼、そういう事ね。去年見に行った試合を思い出し、点と点が繋がる。
影山がチームメイトに怒鳴っていた姿、早く追いつけないトス…

月島「意味は───『自己中な王様』『横暴な独裁者』

ウワサだけは聞いた事あったけど…あの試合見て納得いったよ。横暴が行き過ぎて、あの決勝ベンチに下げられてたもんね。」

『もっと速く動け！もっと高く飛べ！俺のトスに合わせろ！勝ちたいなら！！』

そして、影山のあげたトスは…拒絶された。『もうお前にはついて行かない』と─────。

普通はセッターがスパイカーに合わせてトスを上げる。だけど影山は勝ちに拘りすぎてプレーにも影響し、〝王様のトス〟が出来上がった…

セッターにとって、トスを上げた先に誰もいなかったってのは結構来るだろうな…しかもそれがチームメイトの拒絶なら、尚更。

月島「速攻(クイック)使わないのも、あの決勝のせいでビビってるとか？」