その烏、女騎士。 (ページ11)

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第009話【王様サーブ】ページ11

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試合再開し、こちらのサーブで飛んだボールを田中が拾い、影山は必然的に日向へトスを上げる。

日向は笑顔でスパイクを打つ…が、月島のブロックに意図も容易くドシャットされた。

月島「この前もビックリしたけどキミよく飛ぶねぇ！それで後ほーんの30cm身長があれば、スーパースターだったかもね。」

…まぁ、その通りだろう。低いからバレーが出来ないというわけではない。けれど身長が高ければ高いほどバレーにとっては武器になる。

そしてまたも日向がスパイクを打ったが、月島にドシャットされた。
日向の事も気になるが、今はこっちのチームのため月島に声を掛ける。

山口「ツッキーナイス！」

「ナイスドシャット、ブロックいい感じだよ」

月島「どうも」

月島はネット越しにいる影山の方へ振り向いてまたも王様を強調して話しかける。

月島「ほらほら、ブロックにかかりっぱなしだよ？王様のトスやればいーじゃん。〝敵を置き去りにするトス〟！ついでに味方も置き去りにしちゃうやつね、」

影山「…うるせぇんだよ、…」

…王様、ねぇ。そこに意味は何かしらあるんだろうけど、いい意味では無いんだろうな。

「山口ナイッサ」

試合再開、こちらのサーブで山口がサーブするも
ネットに引っかかり此方へ落ちてしまった。

月島「チッ…」

山口「えへへ…ごめんツッキー…」

「ドンマイ、切り替えるよ」

山口「ハイ！」

あっちのチームにサーブ権が渡り、影山がボールを手に持ちながらポツリと呟く。

影山「早い攻撃なんか使わなくても───…勝ってやるよ」

シュルシュル回したりしながらボールを操る影山、多分ジャンプサーブを打つつもりだろう。そしてその狙い目は

────────キュ、キュ、キュッ

──────────ドパァン！！

山口「ツッキー！」

月島「後ろ」

コートの広くを守るように構えていた私だ。

体育館のみんなの視線が此方に注目しているのが分かる。
深く呼吸し、思考を張り巡らせる…、一年坊主に崩されるわけには行かない。

──────────ドッ

「月島」

月島「山口、」

山口「任せろツッキー！！」

流れる様に決まったスパイク。

「ナイスキー、ナイストス」

山口「夷守先輩もナイスレシーブ！」

月島「ナイスレシーブ」

山口がハイタッチを求めて来た為パチン、と音を鳴らしながら手を重ねる。

月島にもついでにそっと手を出すと、そろそろと手を重ねられパチン、と子気味良い音が鳴った。