音の波紋を、雷へ第五章【イナズマイレブン】 (ページ37)

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『まぁ、その事もあって…あの時色々言われてたお前を見てるだけは出来なかった。
でも、それ以上に…』

『？』

『 ――――― 俺、お前のプレー見た時すっげぇと思ったんだ！』

『……！』

『神のタクトとか、フォルテシモとか、すっげーかっこよかったけど…それ以上にサッカーが好きで好きで仕方ないって言う俺と…みんなと同じ顔してた！

だから俺は、お前と一緒にサッカーやりてーって思ったんだ。』

その言葉と共に向けられた、太陽の様な笑みにAは目を細める。

幼い頃から、周りは神童Aの事を『天才』だと称えた。

音楽をしても『天才』
サッカーをしても、『天才』

大好きなモノの為に努力しているのに、『天才』と言う言葉だけで片付けられてしまうのがAは悔しくて悔しくて仕方がなかった。

今回のこともそうだ。

女子チームから男子チームへ移るほどの実力は、A自身が身につけたというのにそれを女子だと言う偏見を持たれてるとはいえ、『天才』だから大丈夫だと片付けられた。

(でも…ちゃんと、いたんだな。)

自分を見てくれる人が。

『…うん、私も一緒にサッカーしたい。よろしく、『トワ』！』

『！おうっ、A！！』

ふたつの拳が、コツンと重なった。

◆◆◆◆

ある日、風雅学園にて男子クラブチームの練習試合が行われた。風雅学園はココ最近サッカークラブに力を入れてきたとしてそこそこ有名だったので、周りのギャラリーも多い。

その中でも一際注目されていたのは……

『トワ！○○！中央を守って！』

『『了解！！』』

淡い光で線を描きながら、フィールドの皆を導く1人の女の子。女の子ということだけでも注目されていたが、男子と遜色のないその実力に、観客は目を奪われていた。

『凄いな、あの女の子。』

『流石に男子には劣る体格だけど、それを感じさせないほどの技術と頭脳がある……』

観客の中には、Aのという1人の選手に感心する者もいた。

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