音の波紋を、雷へ第五章【イナズマイレブン】 (ページ36)

今日:124 hit、昨日:469 hit、合計:16,575 hit

◆ ページ36

.

その日の放課後、クラブ活動が終わりAは帰ろうとしていた。風雅学園から神童邸まではさほど遠くないため、Aは徒歩での帰宅だ。

Aが教室から出ると、声が投げかけられた。

『A〜』

『！霧野さん……』

『その堅苦しい呼び方やめろよ〜、みんなトワって言ってんだからさ！それよりさ、

―――――― サッカーやろう！！』

''それ''は、太陽だった。

◆◆◆◆◆

ある所の河川敷に、荒い息が響き渡る。
そして、時々大きい音も響き渡った。

二人はサッカーフィールドのある河川敷にてサッカー対決をしていた。

『 ――――― 〝フォルテシモ〟！！』

淡い虹色が、片方のゴールネットを揺らす。
点を決めたことに喜ぶべきだったが、Aは膝に手をついて息を吸ったり吐いたりしていた。

その額には沢山動いた証拠の汗が大量に滲んでいて、それは対決していたトワも同じだった。

2人はよろよろと土手に向かい、2人並んで寝転がる。
2人して息を整えていると、Aが徐にトワに問いかけた。

『……ねぇ、聞いてもいい？』

『んー？』

『なんで、あの時真っ先に私に声掛けたの？』

Aには、純粋な疑問だった。
どうしてそこまですんなりと受け入れられたのか。
キャプテンという立場をいきなり現れた人物に横取りされて何も思わないのか。

『あー…まぁ、悔しいよ。けどさ…俺は知ってるから。その偏見って奴を受ける悔しさをさ。』

『え、？』

『俺、女みてーな見た目ってよく昔から言われてたんだ。でもサッカーって言う男らしいスポーツに熱くなって……周りから変な目で見られた。

Aは5年生の途中から男子チームに来たから、あんま知らないだろうけど…俺、昔いじめられてたんだ。元々いた6年生に。』

『……！』

『ユニフォーム隠されたり、タオルに落書きされたり…、挙句の果てには殴られたり。

その度に、監督にばれないように『女みたいな見た目のくせに』『先輩より活躍するな』なんて言われた。

まぁ、他の同級生のチームメイトのおかげでせんせーにバレたから、いまその6年はいないけど……』

その事実に、男子チームに6年生がいなかったのはそのせいか、とAは考える。
普通キャプテンは6年に任される筈だったから疑問だったのだ。

.